研究課題/領域番号 |
23K07069
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研究機関 | 東北医科薬科大学 |
研究代表者 |
岡村 信行 東北医科薬科大学, 医学部, 教授 (40361076)
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研究分担者 |
古川 勝敏 東北医科薬科大学, 医学部, 教授 (30241631)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | PET / 神経炎症 / バイオマーカー / アストロサイト / 神経変性疾患 |
研究実績の概要 |
様々な神経変性疾患の脳内では、病初期からアストロサイトの活性化が認められ、神経機能障害の誘因になると考えられる。したがって反応性アストロサイトの生体イメージングは神経疾患の早期診断や予後予測に有用と考えられる。本研究の目的は、反応性アストロサイトを可視化するPETプローブ[18F]SMBT-1を用いた臨床研究を多様な神経疾患の患者で実施し、その臨床的有用性を検討することである。本年度は前頭側頭葉変性症とレビー小体型認知症の患者でSMBT-1 PETの撮像を実施した。その結果、前頭側頭葉変性症患者と一部のレビー小体型認知症患者の大脳皮質でSMBT-1の集積上昇がみられ、その集積分布はアルツハイマー病患者とは異なることを確認した。前頭側頭葉変性症では、行動障害型前頭側頭型認知症(bvFTD)、意味性認知症(SD)の両者で顕著なSMBT-1の局所集積所見を認め、その高集積像は萎縮が進行した領域のみならず、萎縮がまだ軽微な領域でも観察された。本所見からSMBT-1 PETは前頭側頭葉変性症の病変検出感度に優れた検査と考えられ、早期診断に活用できる可能性が示唆された。一方、レビー小体型認知症患者では大脳皮質でびまん性に高集積がみられる症例と顕著な集積上昇を認めない症例が混在していた。このような個体差は、病理学的重症度やアミロイド病理の合併の有無によって左右されると予想されることから、引き続き例数を増やして検討を進める予定である。この他、前頭側頭葉変性症やレビー小体型認知症の患者脳サンプルを用いたSMBT-1の結合性評価を実施し、これらの患者脳においてSMBT-1の特異的結合量が上昇していることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前頭側頭葉変性症とレビー小体型認知症におけるPET研究は、今のところ順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
前頭側頭葉変性症、レビー小体型認知症に加えて、進行性核上性麻痺や多発性硬化症の患者にも臨床研究を拡大する予定である。これと並行して、多様な非アルツハイマー病患者の脳組織サンプルを用いて、SMBT-1の結合性評価を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
既存の研究物品を活用することによって、研究経費を削減した。今年度の余剰経費は、翌年度以降の臨床研究や結合実験における物品購入に充てる予定である。
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