研究課題/領域番号 |
23K07078
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
細谷 紀子 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 准教授 (00396748)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | DNA修復 / ミトコンドリア核酸代謝 |
研究実績の概要 |
ミトコンドリアは、酸化的リン酸化によってATPを産生し、生体活動に必要なエネルギーを供給する細胞内小器官であり、その機能不全は、がんをはじめ多様な疾患の原因となる。ミトコンドリアDNAには、ATP産生や呼吸に関わる重要な分子の一部がコードされており、その切断、複製の異常によって生じるミトコンドリア機能不全は、細胞の生存にとって致命的な影響を与えることが想定される。しかしながら、これまでに、ミトコンドリアDNA切断に対する応答機構やその複製機構の全貌は殆ど解明されていない。本研究では、ミトコンドリア核酸代謝のメカニズムを明らかにするとともに、研究代表者が研究を推進してきた相同組換え関連分子群がミトコンドリアの核酸代謝においても何らかの役割を果たしているという仮説のもと、両者の関係性を明らかにすることを目的とする。今年度は、相同組換え修復分子のいくつかを発現抑制するとミトコンドリアDNAコピー数が低下するという結果が得られ、これらの分子がミトコンドリアの核酸代謝の制御において役割を果たしていることが示唆された。一方、ミトコンドリアDNAの複製の動態を正確に可視化する新しい解析技術の開発が急務であったため、ヒト培養細胞を用いて、FISH(Fluorescence in situ hybridization)と蛍光免疫染色法を組み合わせ、ミトコンドリアDNAの全長を可視化し、ミトコンドリアDNAの複製開始点、進行中の複製箇所を、異なる蛍光色素で標識する実験系を確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
DNA修復分子群がミトコンドリア核酸代謝に何らかの役割を果たす可能性を示唆する実験結果が得られたため。また、ミトコンドリアDNA複製の動態を可視化できる新しい解析技術を確立できたため。
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今後の研究の推進方策 |
数十種のDNA修復分子のミトコンドリアDNAやRNAへの局在の有無について、ミトコンドリアマーカーとの二重蛍光免疫染色やミトコンドリアDNA/RNA免疫沈降によってスクリーニングを行い、ミトコンドリアの核酸代謝を制御するDNA修復分子を同定する。また、同定された修復分子を発現抑制した細胞がミトコンドリアDNA複製やRNA転写へ与える影響について、今年度に独自に確立したミトコンドリア核酸代謝の解析技術を用いて、検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)ミトコンドリアDNA複製の新しい解析技術について、予定より少額の物品費で立ち上げることができた。(使用計画)次年度の物品費と合わせ、引き続き、ミトコンドリア核酸代謝のメカニズムとDNA修復分子が果たしている役割の解析に充てる予定である。
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