研究課題/領域番号 |
23K07119
|
研究機関 | 神戸学院大学 |
研究代表者 |
安藤 徹 神戸学院大学, 薬学部, 助教 (50639226)
|
研究分担者 |
市川 秀喜 神戸学院大学, 薬学部, 教授 (00248105)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
キーワード | がん中性子捕捉療法 / ガドリニウム / 頭頸部がん / キトサン / ナノ粒子 / PEG |
研究実績の概要 |
がん中性子捕捉療法(NCT)はホウ素(10B)やガドリニウム(157Gd)などの放射線増感元素と熱中性子の中性子捕捉反応(Neutron Capture Reaction,NCR)の結果として生じる放射線による細胞障害作用を利用したがん治療法である.このNCTでは放射線増感元素を腫瘍組織内に均一かつ所定量以上を集積させることが治療成功に重要となる. 本研究では,Bが均一に分布しづらいと考えられる巨大腫瘍に対してGdを放射線増感元素としたNCTの適応を考え,巨大腫瘍へ成長しやすく,臨床においてBの分布の不均一さが報告されている頭頸部腫瘍に対するGdNCTの適応を検討する.また,これまでに申請者らが開発してきたGdを含むキトサンナノ粒子(Gd-nanoCP)が腫瘍内のGdの分布を改善することで抗腫瘍効果が改善することがわかっていることから,Gd-nanoCPの表面修飾を行い,分散安定性の向上に有用かを検討した. 昨年度の検討で,Gd-nanoCPの中のキトサン由来のアミノ基とNHS活性化エステル-PEGの縮合反応により,粒子表面に分散安定性に寄与するPEGを修飾を評価をしたところ,PEGの分子量によってGd-nanoCPの分散安定性は変化することが明らかとなり,PEGの分子量が1200以上となると分散安定性が低分子と比較して向上することが示された.また,PEGの添加量が多量になると,PEGの可溶化効果によって粒子が溶解する傾向が見られ,最適な分子量と添加量が明らかとなった. PEGリン脂質を含む表面修飾剤による表面修飾は,Gd-nanoCPを安定化する効果が低く,最適な条件設定を行うことが困難で有った.よって,次年度以降はNHS活性化エステル-Acid-PEGを用いることで,当初計画していた負電荷をもつことで腫瘍内でより分散が期待できる粒子の開発を進めて行きたい.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
粒子に負電荷を付与する目的で行っていたPEG脂質を用いた検討で予定よりも遅れていたが,負電荷をもつNHS活性化エステル-Acid-PEGの使用の見通しが立ったことから,今後ペースを上げて実施できると考えられる.
|
今後の研究の推進方策 |
2年目に予定している細胞・動物を用いた検討について,まずは正電荷をもつ粒子で検討を進めて,その間に負電荷をもつ粒子の修飾検討を行っていきたい.
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初発表予定であった学会の延期,オンライン化によって,参加費と旅費に変更が生じたため.
|