研究課題/領域番号 |
23K07122
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
山崎 友照 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子医科学研究所 先進核医学基盤研究部, 主任研究員 (80627563)
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研究分担者 |
森 若菜 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子医科学研究所 先進核医学基盤研究部, 研究員 (30835442)
藤永 雅之 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子医科学研究所 先進核医学基盤研究部, 主幹研究員 (70623726)
石井 英樹 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 研究所 認知症先進医療開発センター, 客員研究員 (80425610)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | PET / AMPA受容体 / AMPA受容体調節性タンパク / 11C / GluA1 / GluA2 |
研究実績の概要 |
脳の興奮性神経伝達を介在しているグルタミン酸受容体の中でも,イオンチャンネル型のAMPA受容体は,てんかんなどの急性の神経毒性に大きく関与していることが知られており,GluA1~GluA4(GluA2を含むとCaイオン非透過性となる)からなるサブタイプがホモ又はヘテロの4量体を形成し,ポストシナプスの膜上に存在している。AMPA受容体は,膜貫通領域に補助たんぱくが配置されており,チャンネルの開口時間などは,このたんぱくにより調節されている。補助たんぱくの一つである,TARP-g8は前脳や海馬に多く発現しており,てんかん病態と非常に関連が深いことが阻害剤の開発研究から明らかとなってきてる。そこで,本研究課題では,AMPA受容体及びTARP-g8に特異的なPETプローブを用いて,てんかんモデル動物における病態の発生,進行に付随したAMPA受容体及びTARP-g8に対する放射能集積の変化をPETを用いて長期間観察し,これらの分子間相互作用の機序を明らかにすることを目標としている。 令和5年度は,AMPA受容体のGluA1及びGluA2に対するTARP-g8発現の選択性を明らかにするために,GluA1及びGluA2のノックアウト(KO)マウスにおいて,TARP-g8の選択的なPETプローブである[11C]TARP-2105を用いてPETイメージングを行った。 その結果,GluA1-KOマウス脳における[11C]TARP-2105のTARP-g8に対する特異結合は海馬において,野生型と比べ,15%程度低下していたのに対し,GluA2-KOマウスでは,野生型と比較して,海馬で25%と大きく減少していた。また,海馬だけでなく,前頭葉や線条体における特異結合も有意に減少していた。この結果から,TARP-g8はGluA2を含むAMPA受容体に多く発現していることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
想定通りに,ノックアウトマウスが入手できたので,順調に研究が進展している。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度では,ノックアウトマウスの脳切片を作成し,オートラジオグラフィや免疫染色を行い,PETイメージングの結果を裏付ける実験を行う予定である。また,ピロカルピン誘導てんかんモデルラットを作成し,病態進行におけるTARP-g8の発現量の変化を[11C]TARP-2105を用いたPETイメージングにより,明らかにする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた学会に実験結果が間に合わなかったため,旅費が予定より少なくなった。令和6年度に学会参加を予定しているため,その旅費に充てる予定。
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