研究実績の概要 |
ロジウム-103m (103mRh: T1/2 56 min, IT 100%)は103Pdの娘核種であり、またBernhardt et al. (Acta Oncologica 40, 2001)の基準を満たす数少ないオージェセラピー最適治療核種候補の一つでもある。ところで、実際に103mRhを利用する場合、その半減期を考慮するとジェネレータによる製造が現実的である。しかし、103Pd/103mRhジェネレータの開発報告は半世紀ほど前のものが最後であり、そこで使用されたイオン交換樹脂もすでに生産を停止しているため、当時の再現ができない状況となっている。そこで今回、我々は先行報告を基に分類(1型 or 2型)や基本形(ゲル型 or 巨大網目型)が同じものを代替樹脂とし、新たにジェネレータを複数作製し、性能を評価した。具体的には、各陰イオン交換樹脂(IRA410, 904、SA11AL, 20A)3 mLを詰めたカラムに0.1M HCl nca-103Pd溶液をロードしジェネレータを製造した。製品としての103mRhは溶離液0.1M HCl 6 mLを流速0.5 mL/minでカラムへロードすることで回収した。回収した製品に対しては、ゲルマニウムカウンターで収率を、液体シンチレーションカウンターで製品内への103Pdの混入率を計測した。結果は、代替樹脂に96%以上で103Pdが吸着し、ジェネレータの収率は24~38 %, 103Pdの混入率は 0.06~3.5%、製品回収時間は 14 minであった。これは、先行文献で報告されたジェネレータと同等の性能を示している。
|