研究課題
本研究の目的は、EOB-MRIを用いて免疫療法の効果を最大限に享受できる肝細胞癌患者群を層別化し最適な個別化医療を実践することである。肝細胞癌に対して肝切除術を受けた患者104例から得られたサンプルについてCD8+抗体による免疫組織化学染色を行い、4つの免疫表現型に分類した。患者のEOB-MRIスキャンを評価し、MRI所見と免疫表現型との関係を評価した。検証のため、PD-L1抗体とVEGF抗体を用いた複合免疫療法を受けた27人の患者からなる別のコホートにおいて、60結節の治療効果を解析した。EOB-MRI画像所見のうち、rim APHE、動脈相における腫瘍周囲の造影効果、3点スケールで測定した肝胆道相(HBP)における中程度の信号強度を有する肝細胞癌は、Excluded typeの肝細胞癌との関連が見られた。また、EOB-MRIで同定された画像的特徴を有する肝細胞癌は、特徴を有さない肝細胞癌と比較して免疫療法の併用に感受性があることが分かった。Rim APHE、動脈相での腫瘍周囲増強、およびHBPでの中間信号強度を有する肝細胞癌は腫瘍免疫微小環境を推定する画像所見であり、肝細胞相の中間信号強度は、腫瘍免疫バリアーによる免疫排除表現型を予測する非侵襲的バイオマーカーとなりうることが示唆された。
2: おおむね順調に進展している
本研究の目的である、①EOB-MRI画像による腫瘍免疫微小環境の予測モデルの構築、②免疫療法を実施する進行肝細胞癌症例に対する予測モデルの有用性評価、③免疫療法の治療効果を非侵襲的に予測できる新規バイオマーカー開発、のうち①、②について進捗しており、順調に進展しているものと考える。
①EOB-MRI画像による腫瘍免疫微小環境の予測モデルの構築、②免疫療法を実施する進行肝細胞癌症例に対する予測モデルの有用性評価、の研究を進めるとともに、③免疫療法の治療効果を非侵襲的に予測できる新規バイオマーカー開発、に着手する。
COVID-19パンデミック影響下のために国際学会出張での成果発表に至らなかったことにより次年度使用額が生じた。次年度で研究を進行させるとともに国際学会での発表によって予算を使用予定である。
すべて 2024 2023
すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件)
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