研究課題/領域番号 |
23K07162
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研究機関 | 茨城県立医療大学 |
研究代表者 |
相良 順一 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 准教授 (50274981)
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研究分担者 |
島本 直人 (鹿野直人) 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 准教授 (80295435)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | ホウ素中性子捕捉療法 / BPA / 蛍光 / 原子吸光スペクトル / C6グリオーマ細胞 |
研究実績の概要 |
ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)によりがん細胞を効果的に破壊するためには、がん細胞に選択的にホウ素を取り込ませる必要がある。そのため、L-フェニルアラニンのホウ素製剤であるL-ボロノフェニルアラニン(L-BPA)が臨床的に利用されているが、細胞生物学的な研究は不十分であり、周囲の正常細胞への影響はよくわかっていない。また、L型とD型のフェニルアラニンのホウ素誘導体(L-BPA、D-BPA)は輸送体が異なり、動態が異なる可能性がある。そこで、L-BPAとD-BPAの細胞レベルでの分布と取り込み機構を明らかにするためにL-BPAとD-BPAの動態を調べた。今年度は、腫瘍細胞を用いてL-BPAとD-BPAの取り込み量を測定する手法を検討した。 C6グリオーマ細胞にL-BPAとD-BPAを添加して培養し、細胞内のBPA濃度を2通りの方法で測定した。蛍光試薬による測定 - Amino Acid Uptake Assay Kit (Dojindo)を用いて、細胞内でBPAと反応して生じる蛍光を測定することで、取り込まれたBPAを定量した。取り込み時間が長くなり、BPA濃度が高くなると蛍光強度が飽和する傾向が見られた。 原子吸光スペクトルによる測定 - 細胞を過塩素酸と過酸化水素で処理することにより、BPAを無機ホウ素に分解し、原子吸光スペクトルを測定することでBPAを定量した。測定は茨城県東海村の施設で行う必要があり、試料の調製にも時間がかかり、BPAの定量のためにはやや多めの細胞が必要だが、高濃度のBPAでも定量できると思われた。 BPAの取り込み量の測定を長時間行う場合には原子吸光スペクトルが有効であるが、短時間の測定は蛍光試薬が望ましいと思われた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初、BPAの取り込み活性は放射性同位体を用いたトレーサ実験を予定していたが、放射標識化合物の価格高騰により、放射性同位体を用いない方法を検討していたために研究に遅れが生じてしまった。そのため、蛍光試薬を用いた方法と原子吸光スペクトルを用いた方法によるBPAの取り込み量の測定を検討している。
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今後の研究の推進方策 |
現在、進めているBPAの取り込み活性の測定は、原子吸光スペクトルによるホウ素の定量、蛍光試薬によるBPAの定量を検討している。これらの方法には一長一短があるが、腫瘍細胞のBPAの取り込み量の測定方法が確立しだい、正常細胞のBPA取り込み量を測定し、正常細胞と腫瘍細胞のBPA取り込みの差異を明らかにしたい。また、L-BPAとD-BPAの取り込み量の違いも明らかにする。蛍光試薬は蛍光顕微鏡で観察することでBPAの細胞内分布がわかるので、腫瘍細胞と正常細胞を共培養した状態のBPA動態を明らかにしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初はゲル撮影装置を購入予定であったが、細胞同定にウェスタンブロッティングで化学発光を測定する必要が生じたため高額な機器が必要になった。ケミルミ対応のゲル撮影装置は間接経費での購入を検討している。また、純水製造装置が漏水のため急遽更新する必要が生じた。そのため、ゲル撮影装置を購入を見送り純水製造装置の購入をするため昨年度の予算を残したため。
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