研究課題
今年度は計画通りに北海道大学病院に心不全の確定診断で入院した連続症例を前向きに登録し、年度内に250例の登録が得られ、全例に以下の検査を施行した。肝臓MRE:3.0テスラMRI装置であるDiscovery 750W(GE Healthcare, Waukesha, WI, USA)を用いて、16および40チャネルGEMアレイコイルを使用し撮像。MRE画像は、専用のアクティブドライバー(振動源)とパッシブドライバー(振動板)を使用して患者を仰臥位として、肝臓を振動させながら撮像した。解析用の関心領域(region of interest; ROI)は、画像ビューアー(EXTREX, J-MAC System, Sapporo, Japan)を使用して描出した。原則として、ROIはモノクロ硬度画像上で、肝右葉のsegment 5(S5)領域からS8領域の間の3~4断面において波画像で平行波が伝播している領域を選択し、フリーハンドで可能な限り大きく描出した。描出したROI内の弾性率は自動計算され、計測された各断面の弾性率の平均値を、肝硬度(LS-MRE、単位: kPa)として算出した。右心カテーテル検査:患者を仰臥位とし呼気終末で息止めを行いながら実施し、平均5心拍分の波形を取り込み、右心房圧、肺動脈楔入圧、肺動脈圧、心拍出量等を測定した。血液検査(バイオマーカー等):肝硬度上昇の機序を血清学液に検討するため、心不全マーカー(血清トロポニン、NT-pro BNP値)、肝線維化マーカー(ヒアルロン酸、IV型コラーゲン7Sなど7項目)を測定するための血液検体を採取・保管した。
1: 当初の計画以上に進展している
研究計画の1年目ですでに目標症例の8割の症例が登録されており、来年度に目標症例300例を対象とした解析が前倒しで解析できる目途が立った。
可能であれば来年度早期に目標症例300例の登録を達成し、年度内に臨床転帰のデータを合わせて中間解析を開始できればと考えている。目標以上の症例登録数が得られれば、より統計学的に盤石な結果を得ることが可能となるため、可能な限り多数の症例登録を目指す。最終年度には当初予定の主解析のほか、肝硬度を鋭敏に検出する肝臓関連バイオマーカーを同定し、心不全患者のリスク層別に有用な新たなバイオマーカー戦略を開発する。
バイオマーカーの測定にかかる費用は可能な限り目標症例数が揃ってから一括測定のために使用する方が測定精度も保たれると判断し、次年度に繰越の方針とした。次年度に一括バイオマーカー測定の費用に充てる予定である。
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すべて 雑誌論文 (11件) (うち査読あり 11件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (20件) (うち国際学会 15件、 招待講演 8件)
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