• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2023 年度 実施状況報告書

人工知能を用いた胃と周囲血管の自動認識によるナビゲーション手術の実現

研究課題

研究課題/領域番号 23K07176
研究機関滋賀医科大学

研究代表者

貝田 佐知子  滋賀医科大学, 医学部, 講師 (70710234)

研究分担者 谷 眞至  滋賀医科大学, 医学部, 教授 (60236677)
村上 陽子  滋賀医科大学, 医学部, 助教 (90796145)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワード胃癌 / ナビゲーション手術 / 人工知能 / 画像解析 / 胃切除術
研究実績の概要

本年度の研究実績として、申請者の施設では、代表者である貝田佐知子が胃癌患者の診療にあたり、治療方針の決定は分担者であり診療科長の谷教授が決定した。年間症例数は50症例程度であった。全患者の術前および術後に高精細造影CT画像を撮像した。予備実験として、既に撮像した腹部CT画像を3症例程度解析し、これにあらかじめ「胃」「肝臓」「膵臓」「腎臓」「肺」といった周囲組織を自動で認識させると臓器ごとに色分けされたデータが3D画像として得られた。胃の特徴としては食道から十二指腸まで連続してつながる消化管であり、胃の内容物や腫瘍性病変があってもAIが「胃」と認識できるようになるまで繰り返した。胃以外の周囲臓器を誤って胃と認識してしまった場合には、間違いであることを再度認識させた。このようにしてトライアンドエラーを繰り返すうちに、最終的にはAIのみで胃と周囲臓器の境界が認識できるように学習させた。画像のより専門的な解析は放射線科医師である村上陽子が行った。合計20例程度の解析を行い教師データを作成した。胃の支配血管の学習では、例えば左胃動脈であれば大動脈から始まり腹腔動脈、左胃動脈と分枝して最終的に胃に行き渡る連続した索状物として覚え込ませた。腹腔内臓器を栄養する血管は複雑で細分化されているため、血管構造を自動認識(血管のみを抽出して解剖学的な名称と対応させる)することができれば、術前診断のみならず術中ナビゲーションにつなげることが可能であり、ロボット手術や鏡視下手術時の操作時において先を読んだ手術を実現可能にすると考えている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究は、術前患者の高精細単純3DCTを用いて統計分析(主成分分析など)を行い、患者や病態で異なる胃や周囲臓器(肝臓、膵臓、血管系など)について、その平均の形状や少数の変形成分(主成分)パラメータを10-30の変数で表現し、これを人工知能(artificial intelligent:AI)に覚え込ませることが初期段階に必要なプロセスであったが、患者の胃の形状分類や周囲臓器、血管との位置関係を、すべての症例で細かな特徴まである程度詳細な画像化を行うことが可能であった。

今後の研究の推進方策

本年度以降は、胃の支配血管を学習にすすむ予定である。例えば左胃動脈であれば大動脈から始まり腹腔動脈、左胃動脈と分枝して最終的に胃に行き渡る連続した索状物として覚え込ませる。この際のAIによる誤りについては放射線科医師である村上陽子が修正作業を行う。腹腔内臓器を栄養する血管は複雑で細分化されているため、血管構造を自動認識(血管のみを抽出して解剖学的な名称と対応させる)する作業には時間を要するが、代表者である貝田佐知子が実際の胃切除手術によってAIが自動認識した胃周囲の血管が正しいかどうかを確認する作業を行うことも本年度の目標とする。
来年度以降は、AIにより生成された胃および血管の画像を、最終的に村上陽子がチェックし、完成度の高いものから実際の手術でモニターに連動させ、代表者である貝田佐知子がリアルタイムに画像を確認しながら手術することで出血量や手術時間の短縮につながるかどうか検討することができればと考える。実際の手術についての方針決定は診療科長の谷教授が行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

令和5年度に、AIによる画像解析を追加で40例行い、その結果を基にAIの精度向上を行いシミュレーションを行うとともにシンポジウムにおいて発表する予定であったが、画像解析の結果が症例数の不足により不十分であったため、計画を変更し令和6年度以降の追加解析を行ったうえでの発表とすることとしたため、未使用額が生じた。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2024

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 高精細CT画像からのAIによる胃・周囲臓器と血管の自動認識を組み合わせた手術ナビゲーション構築への試み2024

    • 著者名/発表者名
      貝田佐知子、村上陽子、政木勇人、鈴木裕紀、松永隆志、大竹玲子、竹林克士、永谷幸裕、大竹義人、村田聡、佐藤嘉伸、木戸尚治、渡邉嘉之、谷 眞至
    • 学会等名
      日本胃癌学会

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi