研究課題
①昨年度は3D synthetic MRIの撮像をCanon機においてDeep learning reconstruction によるdenoisingを併用しつつ行った。MRI学会ではdeep learning reconstructionのsynthetic MRIで得られる定量値に対する影響に関する報告を行った。②Canon機において健常ボランティアや多発性硬化症患者を撮像し、Synthetic MRIから作成したミエリンマップと、他の代表的なミエリンイメージング手法であるihMTやmyelin water imagingから作成したミエリンマップとの比較を行った。結果、3D synthetic MRIのmyelin volume fractionとihMTの間には強い相関が得られたが、myelin water imagingと他のマップの相関はそれよりも低かった。この傾向は健常者、多発性硬化症患者いずれも同様の傾向であった。これらの結果は、健常者、患者でも確認でき、いずれもミエリンの異なる側面を計測しているためと考えられた。③多発性硬化症では脳表から進行する炎症性変化のプロセスがあり、側脳室周囲白質の障害に脳室側優位の勾配があることが知られている。この勾配の程度を評価したperiventricular gradient mapの有用性が示されているが、現在まではmagnetization transfer ratioやT1 mapなど非特異的なイメージングでの評価しか報告されていない。そこで、Synthetic MRIのミエリンイメージングを用いて健常者、再発型多発性硬化症、二次進行型多発性硬化症における脳室周囲勾配のミエリン量の評価を行った。結果、MSにおける脱髄の影響は脳室近傍でより顕著であり、ミエリンの損傷の勾配は臨床的な障害と関連しているようであった。
2: おおむね順調に進展している
研究実績の概要で示したとおり、順調に進展している。
新たなPhilips MRI撮像機が順天堂に導入され、denoisingのためのdeep learning reconstructionが実装されている。こちらのシークエンス調整を行い、脳腫瘍や多発性硬化症を中心として実際に撮像をおこなっていく。
新規データ取得開始が2023年度末にずれこんだため、解析を2024年度に開始するため。2024年度にPC・データサーバーなど購入する。
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