研究課題/領域番号 |
23K07195
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
加古 泰一 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (40573209)
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研究分担者 |
山門 亨一郎 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (20263022)
高木 治行 兵庫医科大学, 医学部, 准教授 (30378377)
鈴木 亮佑 兵庫医科大学, 医学部, 特任助教 (80611540)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | ラジオ波凝固治療 / 金属ナノ粒子 / ヒアルロン酸 / リピオドール |
研究実績の概要 |
本研究の最終目標は、新しい金属ナノ粒子送達システムを開発し、ラジオ波凝固治療(RFA)の凝固範囲拡大や治療成績の向上を目指した新しい治療戦略を開発することである。 今年度は新しい金属ナノ粒子送達システムの開発を目指し、①オレイン酸コーティング金ナノ粒子のリピオドールやエタノール、酢酸エチルに均一への分散性についての検討、②金ナノ粒子水溶液を封入したPLGAマイクロ粒子の作成、③ポリリジン被覆金ナノ粒子のDCビーズ吸着実験、④ヒアルロン酸ゲルへの金ナノ粒子の分散性についての検討を行った。 結果、①の実験では金ナノ粒子はリピオドールやエタノールに均一に分散しなかった。②の実験では、水溶液封入マイクロ粒子の作成には成功したが、マイクロ粒子を水溶液で溶解させた後に伝導性の変化を測定したところ、伝導率の改善が得られなかった。これは、マイクロ粒子内に封入できる金ナノ粒子水溶液がごくわずかであるためと考えられた。③の実験では、ポリリジン被覆した金ナノ粒子が市販のDCビーズに吸着されることを期待したが、結果的にはほとんど吸着されなかった。④の実験ではオレイン酸被覆した金ナノ粒子が、ヒアルロン酸ゲル内で比較的均一に分散することを確認できた。そこで更に、ヒアルロン酸ゲルに分散させた金ナノ粒子を持ちて、RFAの凝固範囲拡大が得られるかどうかを熱変色ゲルを用いて検討した。結果、金ナノ粒子分散ヒアルロン酸ゲルを塗布した熱変色ゲルでは、対象群と比べて凝固範囲の拡大が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の研究では、オレイン酸被覆した金ナノ粒子が、ヒアルロン酸ゲル内で比較的均一に分散することを確認できた。更に、金ナノ粒子分散ヒアルロン酸ゲルを塗布した熱変色ファントムでは、対象群と比べて凝固範囲が拡大することも確認できた。当初の予定であった『ラジオ波凝固治療の凝固範囲拡大を目指した新しい金属ナノ粒子送達システムの開発』において有望な組み合わせを見出すことができたため、本研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
初年度の研究では、金ナノ粒子分散ヒアルロン酸ゲルを塗布した熱変色ファントムにラジオ波凝固治療(RFA)を行うことで、凝固範囲の拡大が得られることが分かった。次年度は、生体においても同様に凝固範囲の拡大が得られるかどうかを、ラットを用いて検証する。更に、金ナノ粒子分散ヒアルロン酸ゲルの最適な投与量や投与経路、胆管や血管等の組織に与える影響nついても検証する。 併せて、他にも有望な金属ナノ粒子送達システムを開発できないか模索する。
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次年度使用額が生じた理由 |
『ラジオ波凝固治療の凝固範囲拡大を目指した新しい金属ナノ粒子送達システムの開発』に関して様々な組み合わせを検討したが、比較的早い段階で有望な組み合わせを見出すことができたため、次年度使用額が生じた。 新しい金属ナノ粒子送達システムに関しては、他の有望な組み合わせについて2024年度も継続して模索していく予定であり、その際に次年度使用額を使用する予定である。
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