研究課題
皮質下嚢胞をもつ大頭型白質脳症(megalencephalic leukoencephalopathy; MLC)は常染色体潜性(劣性)遺伝形式を示す遺伝性大脳白質疾患である。大脳白質が緩徐に障害され、徐々に運動機能などが低下する進行性疾患である。2001年に22番染色体に位置するMLC1が原因遺伝子であることが明らかになった。研究代表者らはこれまで、日本人MLC患者における遺伝子診断に関わるとともに、MLCの指定難病・小児慢性特定疾病への認定に貢献してきた。しかしながら、根本的な治療法は未だ開発されていない。そこで本研究では、日本人のcommon variantであるS93Lをターゲットにした分子治療法開発を目的とした。MLCにおいては、頭部MRI画像で大脳白質の嚢胞性変化を確認することが診断の根拠となる。大脳皮質がneuronで構成されているのに対して、白質はその軸索を取り巻くoligodendrocyteと支持組織となるastrocyteで構成される。MLCの原因遺伝子であるMLC1はastrocyteでのみ発現していることがわかっている。研究代表者らのこれまでのMLC1遺伝子解析研究によって、日本人MLC患者においては少なくとも一方のアリルにS93L variantが認められており、S93Lが日本人のcommon variantとなっていることを明らかにした。次に多いのがA275Dである。そこでこの2つのvariantによる病態をまず最初に明らかにすべく、モデル細胞を用いてゲノム編集を行った。その結果、両variantを順調に作成することができ、現在病態を解析中である。
2: おおむね順調に進展している
目標どおり日本人で見つかったvariantをゲノム編集で作出することができたため。
計画どおり作出されたvariantを有する細胞を用いて、ERストレスの有無など、機能的な変化を解析する。そしてその病態に対してそれを解消することができるコンパウンドなどの検索を行う。
当初よりも順調に研究が遂行できたために、予定していた試薬や培地量が少なくなった。次年度はさらに研究をすすめるために活用する。
すべて 2024 2023
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 4件)
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