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2023 年度 実施状況報告書

心臓形成におけるGlyr1を介した転写制御機構とRipply3の作用機序解明

研究課題

研究課題/領域番号 23K07274
研究機関北里大学

研究代表者

大久保 直  北里大学, 医学部, 准教授 (10450719)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2027-03-31
キーワードRipply3 / Glyr1 / ゲノム編集マウス / 咽頭弓形成 / 心臓形成
研究実績の概要

Ripply3は咽頭弓で特異的に発現する遺伝子で、咽頭弓分節化とその後の心臓や胸腺の形成に必須である。培養細胞を用いた解析から、Ripply3は進化的に保存されたアミノ酸配列WRPWやFPVQを介してタンパク質複合体を形成し、転写因子Tbx1の転写活性を調節するアダプター分子だと示唆されるが、その実体はまだ分かっていない。Ripply3と相互作用する遺伝子を新たに探索したところヒストン脱メチル化への関与が示唆されるGlyr1を同定した。本研究は、Glyr1の遺伝子改変マウスを作成し、その表現型を解析するとともに、Ripply3とGlyr1の複合変異マウスの解析から咽頭弓および心臓形成におけるRipply3の作用機序を解明することを目的とする。
2023年度は、ゲノム編集によりGlyr1遺伝子のexon3に終止コドンをノックインしたGlyr1 KOマウスの系統化に成功し、ホモマウスの表現型解析を進めた。またGlyr1遺伝子の配列から予測されたN末端側のPWWPドメインを残し、それよりC末側に存在するAT-hookと dehydrogenase様ドメインの配列をコードするexon5~15を欠失させたGyr1 Δ515マウスの系統化にも成功し、その表現型を解析した。その結果、KOマウスでは、新生仔期において野生型、ヘテロ、ホモの個体数はメンデル比で存在したが、3週齢頃になるとホモの体重は有意に軽く成長不良が生じ、生存率が有意に低下した。一方、Δ515マウスにおいても新生仔期の野生型、ヘテロ、ホモの個体数はメンデル比で存在したが、3週齢頃になるとホモでは成長不良が生じ生存率が顕著に低下した。以上、Glyr1 KO、Δ515の各ホモマウスの解析から、Glyr1は生後発達期の生存や成長に関与していることが判明し、特にC末端側の配列に重要な機能があることを示唆する知見が得られた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

Glyr1遺伝子について2種類のゲノム編集マウスの系統化に成功し、表現型解析を進めることができた。Glyr1 KO およびGlyr1 Δ515の各系統のホモマウスの解析から、Glyr1は生後発達期の生存や成長に重要な遺伝子であることを見出した。以上から、概ね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

Glyr1 の各変異マウスでみられた成長不良や生存率低下の原因を探索するため、心臓などの組織学的な解析を進める。またRipply3とGlyr1の生体内での機能的な相互作用について検証するため、Ripply3 KOマウスとGlyr1 KOマウスの複合変異マウスを作成し、その表現型を解析していく予定である。さらにGlyr1の抗体を作成し、免疫染色等により発現部位や発現量を組織学的に検証する。

次年度使用額が生じた理由

他の研究プロジェクトが平行して走っていて、本研究課題に割けるマウスの飼育スペースや時間が限られていたため。次年度は、Ripply3と Glyr1の複合変異マウスの作成、およびそれらの表現型解析として免疫染色などの組織学的な解析に使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Phenotypic analysis of mouse embryos with mutations in two evolutionarily conserved amino acid motifs in Ripply32023

    • 著者名/発表者名
      Daisuke Narita, Ryusuke Ishizuka, Yosuke Kajiyama, Yudai Yabe, Shinji Takada, Tadashi Okubo
    • 学会等名
      The 56th Annual Meeting of the Japanese Society of Developmental Biologists

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公開日: 2024-12-25  

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