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2023 年度 実施状況報告書

細胞骨格系シグナル異常と造血不全の病態を明確にした新規先天性血小板減少症の提唱

研究課題

研究課題/領域番号 23K07286
研究機関東北大学

研究代表者

笹原 洋二  東北大学, 医学系研究科, 准教授 (60372314)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワード遺伝性血小板減少症 / 網羅的遺伝子解析 / CDC42 / TLN1
研究実績の概要

1. 先天性血小板減少症の包括的遺伝子診断系の最新化と臨床への還元
既知責任遺伝子56遺伝子を含む包括的遺伝子解析パネルを更新し、難治性ITPあるいは家族歴のある未診断検体蓄積検体(53症例)を対象にエクソーム解析を施行した。その結果、12症例(22.6%)で病的変異を同定し、各主治医に還元した。本邦での本疾患群の臨床像と責任遺伝子群の全体像を明らかにし、2023年度に論文投稿を行っており、現在受理のための修正作業中である。
2. CDC42遺伝子C末端変異による新規WAS類縁疾患の提唱と血小板減少症の病態解析
自己炎症に関する分子病態はJ Exp Medに掲載されており、現在血小板減少症の解析に必要な患者検体を収集予定である。
3.インテグリンシグナル関連遺伝子TLN-1変異による新規疾患概念の確立とその病態解析
1の国内蓄積検体から、中学生男児1例においてTLN-1遺伝子にαⅡb/β3のβ3サブユニットとの結合部位近傍にヘテロミスセンス変異を同定した。当患者の臨床情報を主治医より情報収集して総括した。また、末梢血単核球での蛋白、mRNA発現量を正常コントロールと比較し解析した。当遺伝子変異のモデルマウスを作成し、血小板数や他の血液学的指標を検討した。現在、モデルマウス内での血小板寿命や安定性について解析を行い、結果を集計しているところである。また、野生型および変異型の遺伝子発現ベクターを作成し、細胞株に導入して、その蛋白発現やインテグリンシグナル伝達系について解析を進めているところである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

先天性血小板減少症の包括的遺伝子診断系の最新化と臨床への還元については、当初の計画が終了し、2023年度に論文投稿を行っており、現在受理のための修正作業中である。
CDC42遺伝子C末端変異による新規WAS類縁疾患の提唱と血小板減少症の病態解析については、現在血小板減少症の解析に必要な患者検体を収集するための準備中である。
インテグリンシグナル関連遺伝子TLN-1変異による新規疾患概念の確立とその病態解析については、国内症例においてTLN-1遺伝子にヘテロミスセンス変異を同定し、当患者の臨床情報を収集して総括した。末梢血単核球での蛋白、mRNA発現量を正常コントロールと比較し解析し、一定の結果を得ている。当遺伝子変異のモデルマウスを作成し、血小板数や他の血液学的指標を検討した。現在、モデルマウス内での血小板寿命や安定性について解析を行い、一定の結果を得ている。また、野生型および変異型の遺伝子発現ベクターを作成し、細胞株に導入して、その蛋白発現を確認できたため、その蛋白安定性やインテグリンシグナル伝達系について解析を進めているところである。

今後の研究の推進方策

1. 先天性血小板減少症の包括的遺伝子診断系の最新化と臨床への還元
論文投稿後であり、現在受理のための修正作業を進めている。
2. CDC42遺伝子C末端変異による新規WAS類縁疾患の提唱と血小板減少症の病態解析
今後は血小板減少症の解析に必要な患者検体を収集予定である。
3.インテグリンシグナル関連遺伝子TLN-1変異による新規疾患概念の確立とその病態解析
患者末梢血単核球での蛋白、mRNA発現量を正常コントロールと比較した解析結果を総括する。当遺伝子変異のモデルマウスにおいて、血小板数や他の血液学的指標を総括する。現在、モデルマウス内での血小板寿命や安定性について解析を行っているため、結果を集計する。また、造血系の解析も今後進めることによって、血小板減少を説明できる病態の全体像を提唱する。また、野生型および変異型の遺伝子発現ベクターを導入した細胞株において、その蛋白発現やインテグリンシグナル伝達系について解析を進める予定である。

次年度使用額が生じた理由

当初の予定より消耗品が安価で済んだことと、国内旅費がWEB参加などで予定額より低額となったことが、次年度使用額が生じた理由である。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) 図書 (4件)

  • [雑誌論文] Reduced-intensity conditioning is effective for allogeneic hematopoietic stem cell transplantation in infants with MECOM-associated syndrome.2023

    • 著者名/発表者名
      Irie M, Niihiri T, Nakano T, Aoki Y, Imaizumi M, Sasahara Y, et al.
    • 雑誌名

      Int J Hematol.

      巻: 117 ページ: 598-606

    • DOI

      10.1007/s12185-022-03505-7.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 妊娠・出産を経験した先天性血栓性血小板減少性紫斑病の一例2024

    • 著者名/発表者名
      笹原洋二、戒能明、菊池敦生、他。
    • 学会等名
      第15回東北小児血液疾患研究会
  • [学会発表] Wiskott-Aldrich症候群および白血球接着不全症1型における免疫学的シナプス形成後のサイトカイン産生異常2023

    • 著者名/発表者名
      笹原洋二、和田泰三、森尾友宏
    • 学会等名
      第126回日本小児科学会学術集会
  • [学会発表] 妊娠・出産を経験した実症例から学ぶ先天性血栓性血小板減少性紫斑病2023

    • 著者名/発表者名
      笹原洋二
    • 学会等名
      第59回日本周産期・新生児医学会
  • [図書] 血液専門医テキスト(改訂第4版) 先天性血小板減少症・機能異常症2023

    • 著者名/発表者名
      笹原洋二
    • 総ページ数
      4
    • 出版者
      南江堂
    • ISBN
      978-4-524-20371-0
  • [図書] 臨床免疫・アレルギー科 CDC42が誘導するインフラマソームの新たな炎症誘導機構2023

    • 著者名/発表者名
      笹原洋二
    • 総ページ数
      5
    • 出版者
      科学評論社
  • [図書] 原発性免疫不全症候群 診療の手引き(改訂第2版) ウィスコット・オルドリッチ(Wiskott-Aldrich症候群)(WAS)2023

    • 著者名/発表者名
      笹原洋二
    • 総ページ数
      6
    • 出版者
      診断と治療社
    • ISBN
      978-4-7878-2630-5
  • [図書] 別冊 日本臨牀 血液症候群(第3版)Ⅱ ーその他の血液疾患を含めてー Wiskott-Aldrich症候群2023

    • 著者名/発表者名
      笹原洋二
    • 総ページ数
      6
    • 出版者
      日本臨床社

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公開日: 2024-12-25  

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