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2023 年度 実施状況報告書

脊髄性筋萎縮症とポンペ病の遺伝子解析とELISA法を用いた早期診断治療体制の確立

研究課題

研究課題/領域番号 23K07294
研究機関熊本大学

研究代表者

中村 公俊  熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (30336234)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワード新生児スクリーニング / SMN蛋白 / qPCR / ポンペ病
研究実績の概要

脊髄性筋萎縮症では、qPCR法を用いた新生児スクリーニング法が開発されているが、遺伝子診断を用いたスクリーニングであるため、倫理的な課題は多く、産科施設で説明をおこなってスクリーニングをおこなうには解決すべき点が多い。われわれは、新生児スクリーニング用の濾紙血を用いて、SMN蛋白を測定する方法を開発した。本研究では、従来のqPCR法によって生じる遺伝子解析による偶発的所見や病型診断といった倫理的な課題を解決することを試みた。そして濾紙血検体を用いたSMN蛋白測定による新生児期のSMAのスクリーニングを実施した。この検査によって、実際に新生児スクリーニングにおいてSMA患者を発見し、早期治療として遺伝子治療を行うことができた。本研究によって本症の早期診断と新生児期のスクリーニングを可能にし、適切な治療時期の検討を行うことで、SMAの早期診断と治療の意義を明らかにすることができた。
さらに、ポンペ病の新生児スクリーニングにおいて、酸性α-グルコシダーゼ遺伝子解析で検出されるPseudodeficiencyの除外のためのqPCR検査法を確立した。この方法を用いることで、活性低値の新生児スクリーニング陽性者の中で、Pseudodeficiencyのアレルを持つ検体を検出することが可能になった。活性低値の陽性者において、Pseudodeficiencyのアレルを持たない検体を確認し、乳児型ポンペ病であることを早期に診断することができた。早期治療が必要な乳児型ポンペ病の早期診断の一助となることが確認できた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

SMN蛋白を測定する方法を開発し、臨床検体への応用が可能になっている。また、Pseudodeficiencyの除外のためのqPCR検査法を確立し、乳児型ポンペ病の早期診断に応用することができた。これらの成果は予定通りまたは予定を上回る進捗と考えられた。

今後の研究の推進方策

脊髄性筋萎縮症とポンペ病において早期診断に役立つツールを設定し、臨床応用へと進めたい。SMN蛋白の効率的な測定と、ポンペ病の酸性α-グルコシダーゼ遺伝子解析で検出されるPseudodeficiencyの効率的な検出をさらに進めるとともに、CK値を用いた2nd tier検査が可能な仕組みを確立したい。

次年度使用額が生じた理由

他の研究の試薬の残りなども用いて効率的な研究を行っており、研究の進捗には問題ない。酵素活性の測定や遺伝子解析等の試薬購入のための物品費、学会発表のための旅費等で、今後も使用する計画である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件)

  • [雑誌論文] Frequency of iduronate-2-sulfatase gene variants detected in newborn screening for mucopolysaccharidosis type II in Japan2023

    • 著者名/発表者名
      Hattori Yusuke、Sawada Takaaki、Kido Jun、Sugawara Keishin、Yoshida Shinichiro、Matsumoto Shirou、Inoue Takahito、Hirose Shinichi、Nakamura Kimitoshi
    • 雑誌名

      Molecular Genetics and Metabolism Reports

      巻: 37 ページ: 101003~101003

    • DOI

      10.1016/j.ymgmr.2023.101003

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Improved sensitivity and specificity for citrin deficiency using selected amino acids and acylcarnitines in the newborn screening2023

    • 著者名/発表者名
      Kido Jun、H?berle Johannes、Tanaka Toju、Nagao Masayoshi、Wada Yoichi、Numakura Chikahiko、Bo Ryosuke、Nyuzuki Hiromi、Dateki Sumito、Maruyama Shinsuke、Murayama Kei、Yoshida Shinichiro、Nakamura Kimitoshi
    • 雑誌名

      Journal of Inherited Metabolic Disease

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1002/jimd.12673

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Gene therapy for spinal muscular atrophy is considerably effective when administered as early as possible after birth2023

    • 著者名/発表者名
      Sawada Takaaki、Kido Jun、Yae Yukako、Yuge Kotaro、Nomura Keiko、Okada Kentaro、Fujiyama Natsumi、Ozasa Shiro、Nakamura Kimitoshi
    • 雑誌名

      Molecular Genetics and Metabolism Reports

      巻: 35 ページ: 100973~100973

    • DOI

      10.1016/j.ymgmr.2023.100973

    • 査読あり / オープンアクセス

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公開日: 2024-12-25  

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