研究課題
芳香族アミノ酸脱炭酸酵素(AADC)欠損症に対し、アデノ随伴ウィルス(AAV)2型ベクターにAADC遺伝子を挿入し、両側被核に計2x1011 vg定位脳手術で注入する遺伝子治療を2015年から実施している。これまで、臨床研究として、重症型7人と中間型1人に、2022年には重症型1人と中間型1人に医師主導治験を実施した。本研究は、これらの患者の長期フォローとして、効果の持続やベクターの発現、脳機能解析等を継続して実施することを目的とする。臨床研究で治療した8名中、2名はオーストラリアとロシアからの患者で、追跡できなくなっているため、残りの6名と、現在治験期間内である2名のフォローを継続する。臨床研究で治療した重症型5名では、治療後5から8年になるが、運動機能の改善は続いている。全例単独、あるいは支えての座位が可能になっていたが、3名では支えての歩行が可能になっている。側弯は進行しており、課題である。高年齢で治療した例の中には、側弯の進行もあり、姿勢保持が難しくなっている例もある。4例は経口摂取困難だったが、2例は経口摂取が改善していた。さらに1例が治療8年後に経口摂取可能になった。眼球変位発作は改善したが、疲れた時などに出ている例がある。中間型1例は、自立した日常生活および学校生活を送っており、知能検査でもバラツキは少しあるが、正常範囲である。全例、有害事象として治療後半年以内のジスキネジアがあり、ほぼ消失しているが、1例のみ持続的に出現している。治療後1年の治験例2例も含め、フォロー可能な全例、fMRIによる脳機能の評価を定期的に実施しており、今後、特定の年齢でまとめて解析する予定である。
2: おおむね順調に進展している
海外からの2例の解析ができていないが、他の例は、定期的に評価しており、検査も実施している。
臨床評価、fMRIやPET等による評価を、該当時期に実施してデータを蓄積し、一定の時期に揃えて解析する。他の疾患に対する遺伝子治療の評価にも応用していく。
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Scientific Reports
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Brain and Development
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