研究課題/領域番号 |
23K07316
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
城戸 淳 熊本大学, 病院, 講師 (70721215)
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研究分担者 |
梶原 隆太郎 熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 助教 (00738221)
澤田 貴彰 熊本大学, 熊本大学病院, 特任講師 (40839065)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | ファブリー病 / iPS細胞 / LC/MS/MS / Lyso-Gb3 |
研究実績の概要 |
ファブリー病は、GLA遺伝子の変異によりα-ガラクトシダーゼA(α-Gal A)が欠損することでグロボトリアオシルセラミド(Gb3)が全身に蓄積する先天代謝異常症である。ファブリー病の治療は、酵素補充療法、シャペロン療法などがあり、不可逆的な臓器障害が出現する前に開始する必要がある。早期発見・診断のためには、新生児スクリーニングが極めて有効である。しかし、これまで我々が行ってきたろ紙血中のα-Gal A活性測定と遺伝子解析のみでは、既知の病的遺伝子変異を有せずまだ発症していない個人に対する確定診断としては完璧ではなく、より正確で発症を予測できるシステムを構築する必要がある。本研究では、血漿グロボトリアオシルスフィンゴシン(Lyso-Gb3)値の測定またはiPS細胞由来の血管内皮細胞に蓄積しているGb3解析を行うことで、既知の病的変異でないGLA遺伝子変異保持者に対するより正確なファブリー病確定診断技術の確立を目的としている。 2023年度は、LC/MS/MSを使用して血漿Lyso-Gb3の測定システムを構築することに専念した。我々は、すでにろ紙血で低α-Gal A 活性を示し、GLA遺伝子上にpathogenic variant または variant of unknown significance をもつ20名をリクルートし、彼らの血漿Lyso-Gb3値の評価をすることができた。これにより、一部の変異では、genotype-phenotypeの関係性があることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ろ紙血で低α-Gal A 活性を示し、GLA遺伝子上にpathogenic variant または variant of unknown significance をもつ20名については、血漿Lyso-Gb3値を評価することができた。これにより、血漿Lyso-Gb3値と遺伝子変異によるgenotype-phenotypeの関係性がわかる変異と、血漿Lyso-Gb3値の評価をしてもvariant of unknown significanceでしかない変異があることがわかった。2024年度も同様に、ファブリー病患者、VOUSの変異保持者および健常者の対象者のエントリーを増やしながら、血漿Lyso-Gb3値の測定を継続していきたい。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度以降も、ファブリー病患者、VOUSの変異保持者および健常者の対象者のエントリーを増やしながら、血漿Lyso-Gb3値の測定を継続する。さらに、ファブリー病患者または、VOUSの変異保持者から、iPS細胞を樹立し、その後、iPS細胞由来の血管内皮細胞を作製して、Gb3の蓄積とα-Gal A酵素活性を評価したい。また、これにより、VOUSの変異について、このGLAの変異によるの病原性の意味を、細胞解析により検討したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
iPS細胞を使った研究にかなりの経費がかかることが考えられるため、できるだけ節約して2023年度は研究を行った。2024年度以降の研究費を十分に確保できているため、当初の研究計画を2024年度以降も遂行する予定である。
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