研究実績の概要 |
患者検体由来の小児急性骨髄性白血病(Acute myeloid leukemia: AML)細胞を用いたPatient-derived xenografts(PDX)マウス作製のための条件設定を行なった。AMLの細胞種は正着効率の高いKMT2A再構成を有するFAB分類M5の細胞を利用した。免疫不全マウスはNOGとNOG-EXLマウス、移植細胞数は1x106と1x107、移植前処置あり(放射線もしくはブスルファン)となし、で比較した。いずれの条件でも生着し、3世代以上の継代も可能でPDXマウス作製に成功した。移植細胞数が多いほど生着は早く、マウス種に関してはNOG-EXLが生着期間が短かった。前処置に関しては、追加した方が有意に早期に生着したが、放射線もしくはブスルファンのいずれも同程度で差はなかった。この結果を受けて、患者検体の細胞数には限りがあることから移植細胞数は1x106個、放射線照射よりも簡便なブスルファン腹腔内投与を前処置として、NOG-EXLへ移植する方針を決定した。現在、様々なAML検体を用いてPDX作製を試みている。FAB分類ではM0, M1, M3, M4, M5, M7で生着を確認している。t(8;21)を有することの多いM2に関しては3検体を試みているが、現在まで生着していない。更なる改良が必要である。また3世代の継代に成功した検体に関しては、初発時と再発時の患者検体、全ての世代のマウス検体のゲノム解析によりクローン進化過程を解析予定である。
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