研究課題/領域番号 |
23K07364
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
竹田津 英稔 久留米大学, 医学部, 准教授 (80352144)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 炎症性腸疾患 / バイオマーカー / 抗好中球細胞質抗体 |
研究実績の概要 |
久留米大学病院および福岡大学病院に通院中のIBD 患者を対象とし、血清中の抗好中球細胞質抗体であるPR3, MPO-ANCAの定量的な検査を行った。PR3-ANCA陽性患者は寛解を含むUCにおいて147名中の84名(57.1%)、MPO-ANCA陽性患者はUCで147名中11名(7.5%)に認められた。一方、Crohn病においてはPR3-ANCA陽性患者は102名中5名(4.9%)、MPO-ANCA陽性患者は102名中0名(0%)であった。そのうち、PR3, MPO-ANCA 陽性UC患者におけるANCA値と腸炎の活動性や病型の特徴、短期な経過との関連性について検討を行ったところ、PR3-ANCAは活動性が高いほど高値を示し、かつ全結腸炎型との関連性が高いことがわかった。MPO-ANCAについてはそれらの関連性について有意差は認められなかった。それぞれのバイオマーカーと短期的な治療経過について検討したところ、PR3-ANCA陽性患者84名中70名(83%)においてステロイド導入が必要となり、さらに分子標的治療については36名(42.9%)と高率に使用され、腸炎が難治化することが分かった。PR3-ANCA陽性のCrohn病患者における臨床的な特徴は患者数が少なく十分な検討を行うことができなかった。 治療前後のPR3-ANCA値の推移を70名で検討したところ、治療における腸炎の軽快とともにPR3-ANCAは低下していた。70名中の43名は陰性化していたが、残りの27名(38.6%)は陰性化していなかった。これらの患者における再燃のリスクや難治化との関連については今後検討を行う予定である。またPR3-ANCA値と関連のあるバイオマーカーの探索もおこなっており、白血球数や血小板数などの関連性が見出されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
末梢血の白血球におけるANCAとの関連性について検討を行っているが、研究に参加できる、もしくは参加に同意する患者が十分にまだ確保できていない。
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今後の研究の推進方策 |
十分に患者のサンプルを確保できるように他の先生方への協力体制の強化、ポスター作成を行い患者さんへの告知など体制を整えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
末梢血の白血球におけるANCAとの関連性について検討を行っているが、研究に参加できる、もしくは参加に同意できる患者が十分に確保できなかった。十分に患者のサンプルを確保できるように他の先生方、ポスター作成を行い患者さんへの告知など協力体制を整えることで研究を促進したい。
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