研究課題/領域番号 |
23K07366
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構(長崎医療センター臨床研究センター) |
研究代表者 |
中村 稔 独立行政法人国立病院機構(長崎医療センター臨床研究センター), 臨床研究センター, 客員研究員 (40217906)
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研究分担者 |
植野 和子 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, 研究所, ゲノム医科学プロジェクト戸山プロジェクト 研究員 (00794512)
人見 祐基 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, 研究所, 疾患ゲノム研究室長 (10525819)
西田 奈央 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 准教授 (50456109)
相葉 佳洋 独立行政法人国立病院機構(長崎医療センター臨床研究センター), 臨床研究センター, 研究員 (70450955)
長崎 正朗 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (90396862)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 原発性胆汁性胆管炎 / ゲノムワイド関連解析 / トランスクリプトーム / 統合解析 / PTPN2 / IFNG / ネガティブフィードバック機構 / 疾患関連遺伝子 |
研究実績の概要 |
日本人PBC患者2,181例と健常人コントロール2,699例のDNA検体(計4,880検体)を対象として、全ゲノム中に存在する約580万か所の一塩基バリアントの遺伝子型を決定した。これらの一塩基バリアントについて、それぞれのアレルを保有する割合をPBC患者とコントロール群の間で比較することにより、18番染色体に位置するPTPN2遺伝子の近傍がPBCの発症との統計学的に有意な関連を示すことを発見した。次に、post-GWAS解析により、PTPN2遺伝子のプロモーター領域に位置する一塩基バリアントであるrs2292758 が、PTPN2遺伝子の発現量を制御することによってPBCの発症に関わっていることも明らかとした。 このrs2292758の発症リスクアレル(rs2292758-T)は、日本人集団においては約3割の頻度で検出されるが、欧米人集団ではほとんど検出されないことから、この一塩基バリアントの頻度の差が、日本人だけでPBCとの関連を示す原因と考えられた。 eQTLdatabaseによると、rs2292758のリスクアレルを持つヒトの免疫担当細胞(樹状細胞)では、PTPN2発現量が低下しており、T細胞株JurkatのゲノムDNAにおけるrs2292758の塩基配列を人為的に変更したゲノム編集細胞においても、PTPN2発現量の低下が再現された。 さらに、PBC患者の肝臓におけるIFNG遺伝子とPTPN2遺伝子の発現相関解析から、発症リスクアレルを持つ患者のPTPN2によるIFNgシグナルの抑制は、リスクアレルを持たない患者より弱いことが明らかとなった。 これらのことから、PTPN2によるIFNgシグナルのネガティブフィードバック機構の是正がPBCの新たな治療法となる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、既に昨年度までに取得していた原発性胆汁性胆管炎患者のGWASデータ、肝生検組織のトランスクリプトームデータを統合解析することにより、日本人に特徴的な新規PBC疾患関連遺伝子PTPN2を同定し、PTPN2-IFNGネガティブフィードバック機構の破綻がPBC 発症に関与していることを明らかとした。この成果はHepatology 雑誌に掲載された。 その後の検体収集もほぼ順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
さらに多数の検体収集を行い、日本人PBCのGWASおよびトランスクリプトームデータベースを作成する。 このデータベースを用いてPBC の新たな病態の解明、治療標的の同定、他のヒト疾患やマウスモデルとの比較解析、国際共同研究などを進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、他の競争的資金が獲得できたため、物品などの購入には本学振の資金を使用しなかった。本年度に使用しなかった学振の資金は、来年度に、主に人件費に充てる予定である。
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