異なるgenotypeでのpreS1ペプチドを用いた結合実験ではpreS1抗体の結合性はgenotype A-D間でgenotype B以外比較的保持されていた。preS1領域を12-14アミノ酸毎ずつにマッピングしペプチドを合成、関心領域のペプチドは1アミノ酸変異を入れた形でのペプチドを合成しEILSAにより評価したところ、preS1抗体のエピトープは特定のアミノ酸領域に集中していた。1アミノ酸変異での結合性の結果はgenotype Bでの結合性変化の結果と相関していた。 上記の結果から異なるgenotypeを幅広く認識することが可能なpreS1抗体を選別し、HBV感染状態の異なる患者のHBs抗原をELISA及びウェスタンブロッティング(WB)にて検出を試みたところS(small)-HBs、M(middle)-HBsとL(large)-HBsの挙動が異なり、L-HBs、M-HBsがHBs抗原の挙動と異なることを見出した。また核酸アナログの切り替え時にL-HBsが他のHBs蛋白と異なる挙動を示すことを見出した。 上記の結果はL-HBsがHBV感染症における新たなバイオマーカーとなりうることを示唆し、その意義についての検証が必要と考えらえる。
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