研究課題
近年、過食、運動不足などの要因による肥満、糖尿病、脂肪肝など、いわゆる生活習慣病と呼ばれる代謝性疾患の発症が増加している。肥満に基づく疾患の典型例が脂肪肝であるが、単純な脂肪肝から脂肪性肝炎を発症し、肝硬変、肝不全に陥る症例が多数存在する。肝硬変の合併症として食道静脈瘤や肝細胞癌により死亡に至る症例も多い。肝炎ウイルスに起因しない肝細胞癌が急速に増加しつつあり、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH:nonalcoholic steatohepatitis)がその主要な原因として重要であることは明確である。しかし、現実的にはアルコールを全く飲まないという症例は少なく、現行の疾患概念では診断に苦慮する場合が多い。これを踏まえ、Metabolic associated fatty liver disease(MAFLD)という概念が最近になって提唱されたが、これにも賛否があり、脂肪性肝疾患の診断、分類に関してはまだ明確なものがあるとは言えない状態である。一方で、肥満を伴わない脂肪肝症例も存在しており、特に日本を含むアジア地域ではその頻度が高い。この多様な表現型を呈する疾患群の病因・病態については、遺伝要因や環境要因、その他の様々な因子を合わせて考える必要がある。本研究では、脂肪性肝疾患のうち、非肥満例と高度肥満例にフォーカスをあてて、両群のオミックス情報について比較検討を行う。初年度は、血液(末梢血血球・血漿)および肝組織に紐づく医療情報およびゲノム情報を取得した。血漿メタボローム(リピドーム)と肝組織RNA-seqを順次、解析中である。多層データをそろえて統合解析するための、解析プラットフォームについても並行して開発を進めている。
2: おおむね順調に進展している
初年度は、血液(末梢血血球・血漿)および肝組織に紐づく医療情報およびゲノム情報を取得した。血漿メタボローム(リピドーム)と肝組織RNA-seqを順次、解析中である。多層データをそろえて統合解析するための、解析プラットフォームについても並行して開発を進めている。現在のところ、予定通りの進捗状況である。
現在のところ、予定通りの進捗状況である。引き続き、血漿メタボローム(リピドーム)と肝組織RNA-seqの解析を進める。それと並行して、多層データをそろえて統合解析するための、解析プラットフォームについても開発を進める。
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