研究課題/領域番号 |
23K07451
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
飯野 勢 弘前大学, 医学部附属病院, 講師 (90814343)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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キーワード | MAFLD / MASLD / NAFLD / 脂肪肝 / NASH / MASH / 腸内細菌叢 |
研究実績の概要 |
MAFLDと腸内細菌叢の関係、NAFLDとの違いについて調査、研究を行ってきた。特に健診対象者の脂肪肝においてMAFLDがNAFLDよりも高い有病率を示し、またMAFLDの方が肝線維化を高率でとらえることが判明した。MAFLDの診断基準である肥満・代謝障害・糖尿病に関連する8項目と線維化の指標であるFAST scoreは、すべてに有意な相関を認めた。このMAFLDの組み入れ診断基準に関わる全項目とFAST scoreとの関連より、MAFLD診断基準は積極的に肝線維化ハイリスク症例を拾い上げることができると考えられた。MAFLDにおける肝線維化症例のうち、多くが肥満+代謝障害の組み合わせを有していた。また、肝線維化における多変量解析では独立因子として肥満と代謝障害が抽出された。過去の報告でも肥満やメタボリックシンドロームが肝線維化に関わることが示されており、肥満と代謝障害を診断基準に含む点からも、一般住民健診においてMAFLDはより肝線維化症例を拾い上げるのに優れていると考えられた。BDHQを用いた栄養摂取量の解析では、MAFLD罹患者は正常群と比較して総エネルギー、食塩、たんぱく質、食物繊維の摂取量が有意に多かった。MAFLDの診断基準にはBMI、耐糖能異常、血圧などが含まれており、総エネルギー摂取量と食塩摂取量が多いことは、MAFLDリスクの上昇に関連すると考えられた。MAFLD罹患者と正常群とを比較したLEfSeでの腸内細菌叢の解析では、MAFLD罹患者ではBlautia属の相対量が有意に低い結果となった。過去の報告ではBlautia属は酢酸と酪酸を生成し、Gタンパク質共役受容体を制御することで肥満の軽減につながることが示されている。Blautia属の相対量は脂肪蓄積やBMIに関連し、MAFLDの病態に関わっている可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定した通りに研究がすすんでいるため
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今後の研究の推進方策 |
MAFLDからMASLDという脂肪肝の新概念が提唱された。これにおいて既存のMAFLDとMASLDの違いを含め、脂肪肝疾患についてさらに調査、研究を深めていく必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、物品費や旅費が昨年度はかからなかったが、次年度に物品費や旅費が必要となる予定である。
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