研究課題/領域番号 |
23K07457
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
清水 寛路 東京医科歯科大学, 東京医科歯科大学病院, 講師 (00733875)
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研究分担者 |
岡本 隆一 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (50451935)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 潰瘍性大腸炎 / オルガノイド / 潰瘍性大腸炎関連発癌 |
研究実績の概要 |
本年度は当初研究計画に従い「腸上皮オルガノイドにおけるシングルセル遺伝子解析系の構築」および「潰瘍性大腸炎患者より腸上皮オルガノイドを作成し、UCANリスクグループ毎に腸上皮オルガノイドライブラリの創設」について研究を実施した。その結果、以下の様な成果を得ている。 1.シングルセル遺伝子解析系を潰瘍性大腸炎患者より得られた腸上皮オルガノイドにおいて可能とするため、まず潰瘍性大腸炎(UC)患者由来の大腸オルガノイド、およびクローン病(CD)患者由来の大腸オルガノイドの初代培養を樹立し、このオルガノイドを用いて、マイクロ流路系とMultiplexPCR法によるシングルセル解析の条件検討を行った。この結果はすでに当研究室で確立した手法、つまり小腸オルガノイドを用いた既報(J Gastroenterol)と同条件にてシングルセルからのRNAの抽出及び逆転写反応が実施でき解析が可能であった。 2.次に、このシングルセル遺伝子発現データについて主成分解析を行ったところ、大腸オルガノイドのUCとCDの間には明らかな差異は認めなかった。同一患者由来の小腸オルガノイド(n=6)と大腸オルガノイド(n=5)の間には異なる分布を認め、上皮細胞の採取部位による差異を検出することが確認された。 3.UCAN合併の潰瘍性大腸炎患者について、内視鏡検査を行なって疾患活動性に関する臨床的な評価を施行した。また、拡大内視鏡観察を行い、低異形度異形成から高異形度異形成、あるいは癌の見極めが可能かどうかを、生検からの病理診断と比較することで検証した。 以上の結果より、大腸粘膜構成細胞群におけるシングルセル遺伝子解析系を構築し、内視鏡を用いて、対象となる患者の臨床的評価が可能であること、対象となる病変の低異形度異形成から高異形度異形成、あるいは癌であるかの鑑別が可能であることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大腸粘膜構成細胞群におけるシングルセル遺伝子解析系の構築と対象患者・対象病変における内視鏡データの収集が進んでいる。当初の計画に沿って進捗していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度計画は概ね順調に推移しているため、当初計画に沿って、次年度以降は対象患者由来の検体を用いてライブラリの創設と、UCANリスクグループ間の比較検討を進めていく計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度は、大腸粘膜構成細胞群におけるシングルセル遺伝子解析系の構築と対象患者・対象病変における内視鏡データの収集を行なった。これを元に、次年度以降は対象患者由来の検体を用いたシングルセル遺伝子解析を幅広く行う予定であり、次年度使用額は必然的に大きくなると考えられる。
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