研究課題/領域番号 |
23K07465
|
研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
打田 佐和子 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (60382074)
|
研究分担者 |
LE THITHANHTHUY 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (10572175)
小谷 晃平 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 病院講師 (50711793)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
キーワード | 門脈圧亢進症 / HVPG / 食道静脈瘤 / 慢性肝疾患 / 肝線維化 |
研究実績の概要 |
慢性肝疾患においては肝線維化の進展と伴に門脈圧が上昇し、門脈圧亢進症が出現する。慢性ウイルス性肝疾患では、抗ウイルス療法によりウイルスが制御されると肝線維化は改善するが、それに伴って門脈圧が低下する症例と低下しない症例があり、その境界は不明である。 我々は、先行研究(20K08338)で、肘静脈からの門脈圧(肝静脈楔入圧較差(hepatic venous pressure gradient; HVPG))測定法を確立し、C型慢性肝疾患に対する直接作用型抗ウイルス薬(DAA)治療前後のHVPGおよび門脈圧亢進症の変化と、それに関連する因子について解析してきた。また、基礎研究として、肝線維化に関与する主要な細胞型である肝星細胞 (HSC) で発現されるサイトグロビン (CYGB) の抗線維化作用について解析を継続中である。 2023年度は、非代償性C型肝炎関連肝硬変患者を対象に解析した。重度の門脈圧亢進症の割合は、HCV排除後に減少し(p = 0.046)、HVPG が低下した患者では、上昇した患者よりも治療前の脾臓容積が小さいことがわかった (p = 0.028)。非代償性C型肝炎関連肝硬変患者においてもHCVを排除すると、細胞機能と門脈圧亢進症の改善が期待できることを論文報告した。しかしながら、C型慢性肝疾患以外の慢性肝疾患についての検討は十分でなく、さらなる検討が必要である。また、より低侵襲な検査で門脈圧を予測し、対応していくことが望まれており、超音波検査で門脈圧を予測する方法の確立を検討中である。 基礎研究においては、門脈圧低下関連する分子・細胞メカニズムの解明には至っておらず、さらに検討が必要である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究遂行に想定以上に時間を要しており、やや遅延している。 特に、補助事業の目的をより精緻に達成するための動物モデルを用いた基礎研究に時間を要しており、分子・細胞メカニズム解明には至っていない。 また、C型肝疾患以外の肝疾患に対する検討ができてない。門脈圧を非侵襲的に予測する方法についても検討中である。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでの研究で解析できていない他の肝疾患での経過を解析、および、基礎研究の解析を進めることで、門脈圧低下関連する分子・細胞の同定およびメカニズムを解明につなげたい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本研究は、先行研究(基盤研究(C)課題番号20K08338)の解析をさらに進める研究である。先行研究の研究期間を延長していたため、本年度は先行研究の経費を使用できた。そのため、次年度使用額が生じてしまった。2024年度は本研究を当初の計画に従って遂行する予定である。
|