研究実績の概要 |
単離マクロファージを無血清培地洗浄し、種々の試薬を含む同培地で1時間刺激した。細胞刺激により、炎症シグナル(MCP-1, MIP1α, IL-6, Cxcl1)および, 線維化シグナル(col1a1, Periostin)のmRNAおよびMIP-1α、IL-1β、Caspase-1活性が有意に増加し、これらの反応はKN-93によって抑制されていた。マクロファージ特異的CaMKIIdelta-KOマウス(mKOマウス)から同様に単離したマクロファージは細胞刺激に対する炎症・線維化シグナルの応答が野生型と比較し有意に低下していた。 NOS阻害薬および高脂肪食負荷の2-hit theoryを用いてマウスHFpEFモデルを作成し、5週、10週、15週後の心筋組織におけるCaMKII 活性、Caspase-1、炎症・線維化シグナルの経時変化を確認した。Caspase-1および炎症系シグナルは5週時点、線維化シグナルは10週時点で最大となり、その後も高値となっていたが、mKOマウスでは有意な炎症・線維化シグナルの低下とピーク時期の延長を認めた。引き続いて生じるCD68陽性細胞の心筋内集積については、野生型と比べてmKOマウスでは少ない傾向があったものの有意差はみられなかった。しかしながらmKOマウスにおいては線維化マーカ(col1a1, periostin)発現量および心筋線維化の程度が野生型と比較して顕著に抑制されていた。
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