研究実績の概要 |
キサンチンオキシダーゼ阻害薬(XOI)の使用が、予後に影響するかについて、これまでの日本循環器学会の循環器疾患診療時実態調査(JROAD)のデータを利用した解析結果を、欧州心臓病学会(ESC 2023、アムステルダム)で発表した。また同内容を「Xanthine oxidase inhibitors treatment or discontinuation effects on mortality: evidence of xanthine oxidase inhibitors withdrawal syndrome」のタイトルで、2024年に論文化した(Front Pharmacol. 2024 Jan 8;14:1289386)。 本研究は20歳から90歳の急性冠症候群または心不全の入院患者1,648,891例を解析した。尿酸降下薬を使用していない患者(n=1,292,486)とXOI薬を使用している患者(n=315,388、他の尿酸降下薬を使用しているn=41,017を除く)の死亡率を比較したところ、各種因子調整後も、XOI治療群は尿酸降下薬無投与群と比較して有意に死亡率が低かった(オッズ比:0.576、95%信頼区間:0.567-0.587、p<0.001)。さらに、XOI継続投薬群(n = 226,261)とXOI離脱群(n = 89,127)の死亡率を比較したところ、 XOI離脱群で、XOI継続群と比較して死亡率が有意に高かった(19.8% vs 0.03%;p<0.001)。本研究により、心血管疾患患者に対するXOI治療は死亡率の低下と関連するが、XOIの中止は死亡リスクの上昇と関連していることが明らかにされた。 上記内容が、心血管疾患患者以外の集団でも当てはまるかなど、更に解析を進めていくため、今年度の研究費で2023年までのJMDCデータを購入した。
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