研究課題/領域番号 |
23K07537
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
及川 雅啓 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (30457775)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 心不全-がん連関 / NGF / TRKA |
研究実績の概要 |
2023年度は液性因子によるがん-心不全増悪連関仮説の検証のため、がんマウス、心筋梗塞マウスでのパラビオーシスを行い、それぞれの液性因子の役割を検討する予定であった。しかし、パラビオーシス手技に難渋し、併体結合の成績が安定しなかった。そのため、急性心筋梗塞マウスモデルに乳がん細胞(4T1細胞)を接種し、心不全状態におけるがん進行を観察した。心筋梗塞により4T1細胞増殖は促進された。心筋梗塞時に液性因子としてNGFが増加することを見出し、NGFが4T1細胞増殖を促すことをin vitro実験で確認し、NGF受容体であるTRKAをsiRNAでノックダウンすることで、NGFによる4T1細胞増殖が抑制されることを確認した。また、TRKA阻害薬を心筋梗塞合併担乳がんマウスに投与し、乳がん進行抑制が得られることを確認した。がん転移にNGF-TRKA経路が関与するか確認するため、肺転移、肝転移数(がん結節数のカウント)の比較をTRKA阻害薬投与の有無で比較したが、有意な差は得られず、NGF-TRKA経路はがん増殖には関与するが、がん転移のメカニズムへの関与は少ないと判断んした。本実験により、NGF-TRKA経路が慢性心不全病態におけるがん進行メカニズムに関与していることが確認でき、JACC cardiooncology誌(J Am Coll Cardiol CardioOnc. 2024 Feb, 6 (1) 55–66)に論文が掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
心筋梗塞により増加したNGFががん進行に関与していることを示すことができ、心不全による液性因子ががん進行に関与する、という当初の目的の一部を示す結果が得られたが、がん進行が心不全を悪化させるかどうか、そもそもの予定だったパラビオーシスが成功していないため、手技の確認が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
パラビオーシスの安定した経過が得られるよう実験を継続する。 がん進行による何らかの液性因子が心不全進行に関与するか検討するため、がんマウスの血清もしくは担がん患者の血清を用いて、液性因子のスクリーニングを行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
マウス実験計画の遅延により、予定していた実験が行えなかったため、使用物品、薬品が当初の予定より減ってしまい、次年度使用額が生じた。今年度の実験計画遂行により予定通りの物品、薬品使用が行えるようにしていく。
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