研究課題/領域番号 |
23K07547
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山崎 正俊 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任准教授 (30627328)
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研究分担者 |
富井 直輝 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (00803602)
佐久間 一郎 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (50178597)
辻 幸臣 名古屋大学, 医学系研究科, 特任准教授 (60432217)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 心室細動 / ローター / Cul-de-sac |
研究実績の概要 |
仮説「Cul-de-sac(袋小路)型心筋焼灼治療がRotorの持続を阻害することでVFを根治に導く」を検証するために、①家兎突然死モデル:完全房室ブロック作成後にICDを挿入することで約3ヶ月後に突然死する動物モデルと、②数値シミュレータと深層強化学習を組み合わせたin silico強化学習モデルを用いて上記の仮説を検証することが本研究の最終目標である。 当年度は予期せぬ動物実験室(光学マッピング実験)移転のため①の実施にやや遅れを生じている。東京大学内(別キャンパス)への実験室移転に伴い現実験室の整理、さらなる改良を加えた新実験室での実験システム構築に時間が取られているが、数例実施した実験データの詳細な解析は継続している。また、心臓内外膜側からの同時光学マッピング実験システムを本研究提案で使用予定であったが、本研究結果成果の臨床応用を踏まえて、透明多点電極マッピングも同時に可能とするシステムの構築に成功し現在稼働中である。改良型本実験システムを新実験室においても使用することを検討している。 提案時には東京大学で実験動物を作成・使用、もしくは、名古屋大学において病態モデル作成後搬送し、東京大学において光学マッピング実験を実施することを想定していたが、搬送時に脱落する実験動物数を最小限にするため名古屋大学においても病態動物モデルの評価・治療効果判定に使用する光学マッピングシステムの構築に着手している。実験機器の主である高解像度光学マッピング用カメラを既に名古屋大学において設置済みであり当年度の遅れを取り戻す準備を整えている。 ②の数値シミュレータと深層強化学習を組み合わせたin silico強化学習モデルに関しては19.2mm四方のヒト心臓組織を模した心臓シミュレータを使用し、シミュレータ上で単一の旋回興奮波の誘発と維持に成功しており、来年度から本実験研究に使用予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
やや遅れていることの最大の理由は、現動物実験室(光学マッピング実験)移転に伴い旧実験室の整理、新実験室整備が必要となったためである。 更に数値シミュレータと深層強化学習モデル構築において、心筋線維方向を組み込むことには成功したが、心筋壁厚の差異を含む3次元数値シミュレータの作成において、計算量が膨大となり解析時間が長くなりすぎることが判明したため、改良版シミュレータを新たに作成中である。
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今後の研究の推進方策 |
上記の遅れを取り戻すために本来名古屋大学においては実験動物作成のみを考えていたが、評価・治療効果判定も可能な光学マッピング実験室を名古屋大学に新規に構築する事で遅れを取り戻すことを検討している。既に実験機器の主である高解像度カメラの設置、ランゲンドルフ灌流システムの構築、電気刺激用機器、心筋焼灼用機器、電極マッピング機器の搬入・設置は完了しており実際に一連の実験が問題なく実施できるかテスト実験を予定している。 本実験研究の提案手法、また、数値シミュレータと深層強化学習モデル構築に関しての成果の一部を令和6年5月にボストンで開催される米国不整脈学会で発表予定としている。学会発表後は速やかに成果をまとめ国際誌に発表する準備を進めている。
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次年度使用額が生じた理由 |
得られた研究成果を国内学会において発表することを予定していたが、当初想定していた結果以上の成果が得られたため、より詳細な解析を継続するための期間を要し当年度の学会発表を見送った。結果的に、より系統だった成果を得ることに成功したため、これらの結果を翌年度の米国不整脈学会で発表する予定である。 研究室移転に伴い実験数が制限されたが、当年度予定していた実験は翌年度実施予定であり次年度使用額として使用する予定である。
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