研究実績の概要 |
本研究の目的は、動脈硬化の発症前に起こることが知られている超早期血管炎症をApoE欠損動脈硬化モデルマウスの各臓器において発見してその活性化に関わるシグナルを同定し、これによって得られた知見から超早期血管炎症のステージを介入点とした動脈硬化の発症予防法を見出すことである。今年度は小規模かつ散発的に生じると考えられる早期血管炎症場をマウスの臓器の中から発見するため、臓器丸ごとを3次元的に蛍光イメージングすることが可能な卓上サイズ簡易型ライトシート顕微鏡descSPIMを開発、発表した(研究協力者 大友ら)。また、descSPIMを用いて血管炎症場を可視化するために必要な各種細胞マーカーの抗体スクリーニングを行った(血管内皮細胞マーカーとしてCD31, E-selectin, ICAM-1、血管平滑筋細胞マーカーとしてαSMA, SM22α、ペリサイトマーカーとしてPDGFRβ, CD13、マクロファージ・泡沫細胞マーカーとしてCD68、好中球のCRAMP等)。加えて、細胞死マーカーとしてCaspase 3, TUNEL、細胞増殖マーカーとしてKi67についても検討した。また、超早期血管炎症の介入点として炎症性シグナルを想定しているが、実際に見出された炎症性シグナルの活性化をリコンビナントタンパク質、アゴニスト、アンタゴニスト、中和抗体等を作用させて抑制しその効果を検証するための準備として血管内皮細胞の培養系の立ち上げを行った。
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