研究課題/領域番号 |
23K07598
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
乾 直輝 浜松医科大学, 医学部, 教授 (80402254)
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研究分担者 |
須田 隆文 浜松医科大学, 医学部, 教授 (30291397)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 線維化 / ブレオマイシン |
研究実績の概要 |
肺線維症は、肺の間質に線維化病変を生じる難治性疾患である。代表的な肺線維症である特発性肺線維症は平均生存期間が3〜5年と極めて予後不良であり、肺線維化病態への新規治療法の開発は喫緊の課題となっている。肺線維化の機序として、繰り返す肺胞上皮障害に対する組織の過剰な修復反応として、過剰産生された細胞外マトリックスが組織に蓄積して病的な線維化が生じると考えられている。線維化メディエーターのシグナル伝達を阻害する抗線維化薬の有用性が示されているが、残念ながら線維化そのものの改善や肺線維症患者の予後の向上には寄与していない。以上より、独創的な新たな視点からの病態解明や新規治療標的の同定が求められている。肺線維症はその詳細なメカニズムは未だ明らかでないが、肺線維症では線維芽細胞の活性化により、筋線維芽細胞が産生する細胞外マトリックスが肺組織に過剰蓄積し、病的な線維化が進展すると考えられている。申請者らは、肺血管内皮細胞の重要性に着目し、肺線維芽細胞とともに肺血管内皮細胞が線維化メディエーターやコラーゲンの産生、内皮間葉転換などを介して線維化において重要な役割を果たすことや、低酸素やTGF-βが肺の線維化を促進させることを示した。 線維化は一般に不可逆的な反応と理解されているが、ブレオマイシン (BLM) を用いた肺線維症動物モデルでは最終的に肺の線維化が軽減することが知られている。申請者らはこの線維化消退期に不可逆的と考えられている肺の線維化を積極的に軽減、抑制するヒントがあるのではないかと考えた。本研究では、肺線維芽細胞および肺血管内皮細胞に着目して線維化病変の消退に関わる分子機構を包括的に探索し、肺線維化の病態解明に挑む課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ブレオマイシン誘導性肺線維症モデルマウスの作成と線維芽細胞と血管内皮細胞の単離は以下の方法に基づき、計画通りに進展している。 I. Microsprayerを用いて、BLMおよびシリカをC57BL6雄マウスに経気道的に注入し、肺線維症モデルを作成 II. 線維化肺からのsingle cell preparationの作成 III. 肺血管内皮細胞の分離:
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今後の研究の推進方策 |
研究計画書に従い、ブレオマイシン曝露から継時的な期間で、肺線維症マウスから抽出した内皮細胞の機能変化を検証を継続し、血管内皮細胞の肺線維化への関与を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
モデルマウス作成の条件設定を目的とした細胞実験が多く、メディエーターなどの測定回数が予測より少なかったため。翌年度分として請求した助成金と合わせて使用する予定である。
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