研究課題/領域番号 |
23K07601
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
木下 直樹 鳥取大学, 医学部附属病院, 助教 (40750336)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺癌 / PD-L1 / ULBP2 |
研究実績の概要 |
本年度はまずin vitroで放射線照射に対する肺癌細胞株の免疫回避につながる反応があるか検討するため、非小細胞肺癌株においてPD-L1、ADAM17、ULBP2発現の検討を行った。EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺癌株であるHCC827細胞に対して放射線照射を行ったところ有意にPD-L1、ADAM17、ULBP2の発現が増加した。そこにADAM17阻害薬を加えることでPD-L1、ULBP2の発現はさらに増強した。培養上清中のsoluble PD-L1、soluble ULBP2、EGFの濃度をELISAで測定したところsoluble ULBP2は放射線照射後有意に上昇し、ADAM17阻害薬でさらに上昇を認めたが、soluble PD-L1、EGFは測定感度未満であり評価ができなかった。EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺癌においても放射線照射によりUBLP2発現とともにPD-L1発現は増加し、免疫回避が促されていることが示唆された。また、動物実験の事前実験として免疫不全マウスへHCC827細胞が安定して生着し腫瘍が増殖することが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
放射線照射によるADAM17発現の上昇に伴いsoluble PD-L1やEGFが増加し、ADAM17を阻害することでそれが抑制されると仮説を立て実験を行ったがELISAの測定感度未満であり、評価ができなかった。現在さらに感度の良いELISAでの測定の準備をしている。また、健常人の血液からNK細胞を単離し放射線照射やADAM17阻害薬を投与した細胞株と共培養して細胞障害活性を測定する実験を試みているが、単離しきれず単離キットを再考している。これらのことから研究の進捗は予定よりやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
感度の良いsoluble PD-L1のELISAキット、EGFRリガンドの一つであるAmphireglinのELSAキットの準備は整っており測定する予定である。また、健常人からNK細胞、CD8陽性T細胞を単離し放射線照射やADAM17阻害薬を加えた細胞株と共培養した際の細胞障害活性について測定を予定している。また、本年度免疫不全マウスへHCC827細胞が安定して生着することが確認できたため、動物実験も順次行っていく。臨床検体を使用した実験に関しては、現在研究計画書の倫理審査中であり、承認が得られ次第開始していく予定である。
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