研究実績の概要 |
独自の肺癌マウスモデルを用いて、 T細胞と樹状細胞のクロストーク機構に着目し、ICB(Immune checkpoint blockade、免疫チェックポイント阻害療法)により誘導されるメモリー型抗腫瘍T細胞応答誘導機序のを解明のための研究を進めている。R5年度の研究成果は以下であった。 1. 1型樹状細胞(cDC1)により誘導されるメモリー型T細胞の標的抗原の同定。 Whole exome sequencing、RNA sequencing結果から予測されたMHC class I およびMHC class IIネオアンチゲンのスクリーニングを行った。ICB を受けたマウスから腫瘍、所属リンパ節、脾臓を摘出し、これら複数の候補エピトー プの生物学的活性を評価した。具体的には、これら抗原と共培養した際の、CD8陽性T細胞、CD4陽性T細胞からのIFN-gおよびTNF-a産性能をリードアウトとしてフローサイトメトリー法による解析を行った。その結果、T細胞が標的とするネオアンチゲンの一部を同定した。 2. cDC1欠損マウスに対するFlt3L-BMDC移植実験系の確立。 GM-CSFおよびFlt3Lを用いてBMDC(骨髄由来樹状細胞)誘導系を確立した。前者ではII型樹状細胞(cDC2)のみ誘導されるのに対して、後者ではcDC1, cDC2の両方が誘導されることを確認した。担癌cDC1欠損マウスの腫瘍局所にFlt3L-BMDCを投与し、ICB初回腫瘍拒絶における影響を検討した。そして、Flt3L-BMDC投与後、腫瘍拒絶したcDC1欠損マウスに対して、腫瘍を再移植することによる抗腫瘍メモリー免疫応答の検討を行った。
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