研究課題/領域番号 |
23K07652
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
半田 知宏 京都大学, 医学研究科, 特定准教授 (10432395)
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研究分担者 |
松田 文彦 京都大学, 医学研究科, 教授 (50212220)
中西 智子 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特別研究員 (70975359)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 特発性肺線維症 / メンデルランダム化解析 / プロテオーム |
研究実績の概要 |
本年度は、公開されているデータを用いてIPFの感受性や呼吸機能(FVC、DLCO)の悪化に関するメンデルランダム化解析を行った。IPFについては、欧米人種におけるGWASデータを用いた(Thorax. 2022, Lancet Respir Med. 2023)。血漿タンパク質については、4つの欧米人種のプロテオームのGWAS研究:INTERVAL研究(Nature. 2018)、AGES Reykjavik研究(Science. 2018)、Fenland研究(Science. 2021)、deCODE研究(Nat Genet. 2021)のデータを用いた。IPFの感受性についてはINTERVAL研究、AGES Reykjavik研究のGWASデータを用いたメンデルランダム化解析によりFUT3とIPF感受性低下との関連が報告されているが(Nakanishi T, et al. Eur Respir J. 2022)、Fenland研究で報告されたcis-pQTLを用いた解析でもFUT3とIPF感受性低下との関連を認めた(OR 0.81, p=9.5×10-8)。その他、Fenland研究、deCODE研究のデータを用いた解析の両方で、BRSK2、ENPP2とIPF感受性との関連を認めた。IPFのFVCの経時的低下については、いずれのプロテオームの研究のデータを用いても、関連するタンパク質は明らかでなかった。IPF患者のDLCOの経時的低下については、Fenland研究のデータを用いた解析により、BDH2との関連が示唆された(p=1.9842×10-5)。しかしその他のプロテオーム研究のデータではIPF患者のDLCO低下とBDH2との関連は明らかでなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は公開データの情報を用いた解析が主体であったが、IPF症例のエントリーと臨床検体の保管は進んでいる。ながはまコホートの健常者の検体も解析可能な状態である。
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今後の研究の推進方策 |
プロテオーム以外に、腸内細菌のGWAS要約統計量などのデータを用いて解析を行い、IPFの発症、進行にかかわる因子の同定を試みる。また、京都大学医学部附属病院および研究分担施設に通院中のIPF患者とながはま0次コホートの健常者のゲノムデータ、臨床データ、プロテオームデータを収集し、日本人集団でのIPFの発症、進行に関わる因子の同定を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度は検体の収集と公開データを基にした解析が主であったため、研究費の執行が少なかった。研究は進めており、次年度以降にプロテオーム解析などでの執行を予定している。
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