研究課題/領域番号 |
23K07654
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
城戸 貴志 長崎大学, 病院(医学系), 講師 (30389465)
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研究分担者 |
永淵 修 福岡工業大学, 附置研究所, 研究員 (30383483)
迎 寛 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (80253821)
田中 義正 長崎大学, 先端創薬イノベーションセンター, 教授 (90280700)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | プラスチック / マイクロプラスチック / 気管支肺胞洗浄液 / 大気 / 吸入 / 顕微ラマン分光法 |
研究実績の概要 |
プラスチックの環境や健康への影響が懸念されており、全身の臓器からのプラスチック検出の報告が相次いでいる。また、直径5μm以下のマイクロプラスチック(MPs)が大気中からも検出されており、吸入による呼吸器を通じた健康影響も懸念されている。本研究は、呼吸器検体中のMPsの検出・定量法の確立、及びヒトの気管支肺胞洗浄液(BALF)及び切除肺からのMPsの検出の有無と頻度を明らかにすることを目標として検討をすすめている。 呼吸器検体は30%過酸化水素水で有機物を除去したのち、filter上に固定した。これまで、BALFは14検体、肺組織3検体、大気は3検体を解析した。ナイルレッド染色ではBALF中には中央値で400.8個/ml(コントロールサンプル中には47.4個/ml)のMPsとみられる粒子が蛍光画像で確認された。BALFでは繊維状のものが約10%、粒子状のものが約90%をそれぞれ占めていた。また、BALFでは長径10μm以下のサイズの粒子が8割以上を占めていた。ナイルレッド染色で標識された粒子の顕微ラマン分光法を用いたプラスチックの種類の同定では、BALFはポリエチレンテレフタラート、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、セルロースなどのプラスチックなどが検出された。肺組織や大気検体の解析でも同様の傾向がみられている。 今後はさらに解析数を増やし、BALF及び切除肺からのMPsの検出の頻度や健康影響について検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ラマン分光法での解析が非常に時間を要するため、解析にやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
BALFを中心とした呼吸器検体からのプラスチック検出について報告するとともに、さらに健康影響についても検討をすすめる方針である。
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次年度使用額が生じた理由 |
概ね計画と近い額ですすめさせていただいているが、ラマン分光法での解析が非常に時間を要することや、学外共同研究者との都合がうまく合わなかったことなどもあり、解析がやや遅れている。ナイルレッド染色で染色された粒子はラマン分光法でプラスチックであることは概ね間違いないことが確認できたため、今後はナイルレッド染色における粒子濃度や粒子径の評価に比重を増やように方針を変更して、解析をすすめたいと考えている。
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