研究課題/領域番号 |
23K07696
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
松井 功 大阪大学, 大学院医学系研究科, 講師 (60456986)
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研究分担者 |
猪阪 善隆 大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (00379166)
井上 和則 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (10631301)
松本 あゆみ 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (40794053)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | リン酸 / 腸管吸収 |
研究実績の概要 |
Cldn3およびSlc34a2 floxマウスを作出した。当初、Neoカセットが残存したCldn3 floxマウスを用いた検討を試みたが、本マウスをVillin Creマウスと掛け合わせても腸管上皮細胞における有意なCldn3発現抑制が認められなかった。このため、FLP-FRTシステムを用いてNeoカセットを除去することで腸管上皮特異的Cldn3ノックアウトマウスを作出した。Systemic Cldn3ノックアウトマウスでは餌リン酸負荷により腎臓石灰化などの臓器障害が増悪したが、上記floxマウスを用いて作出した腸管上皮細胞特異的Cldn3ノックアウトマウスではそのような変化が認められなかった。このため、Cldn3は腸管上皮細胞におけるリン酸透過性制御のみならず、腎臓においてリン負荷増大に対して保護的な作用を示すことが示唆された。また、腸管上皮細胞特異的Cldn3 ノックアウトマウス、Slc34a2ノックアウトマウスにおいて、これらの遺伝子は互いの発現に影響を与えないことが明らかになった。 近年上市された腸管リン酸吸収抑制薬「テナパノール」は腸管上位細胞におけるCldn3やNaPi2bの蛋白質発現量に直接的な影響を与えないことを確認した。本薬剤は傍細胞輸送経路を制御することにより腸管上皮細胞におけるリン酸吸収を抑制することが知られている。我々の検討により、本薬剤は細胞間接着ではなく細胞内のコントロールに重要な役割を担う蛋白質のリン酸化および発現量を低下させることが明らかになった。このため、in vitro培養系において我々が同定した蛋白質がテナパノールの作用メカニズムとして重要であるか否か検討を進めつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
必要な臓器特異的ノックアウトマウスは作出済みであり、表現型の解析に取り掛かっている。またテナパノールの作用メカニズムに重要な役割を担う可能性が高い蛋白質を同定済みであり、in vitroにおける評価系構築を行っているため。
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今後の研究の推進方策 |
作出したCldn3、Slc34a2 腸管上皮特異的ノックアウトマウス、および両者のダブルノックアウトマウスを用いて、0.13%, 0.29% 1.25%リン混餌食を与えた際の反応を検討し、腸管リン酸吸収におけるCldn3およびSlc34a2の役割を明らかにする。また、テナパノールはCldn3やSlc34a2に影響を与えずに腸管上皮細胞におけるリン酸透過性を制御しており、我々が本研究で同定したターゲット候補蛋白質がテナパノールの薬理作用に必須であるか否かをin vitro培養系を用いて明らかにする。
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