研究課題/領域番号 |
23K07717
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
横井 秀基 京都大学, 医学研究科, 講師 (90378779)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | ポドサイト / アルドステロン / ナトリウム利尿ペプチド / p38 MAPK |
研究実績の概要 |
ポドサイト特異的にナトリウム利尿ペプチド受容体であるGC-Aとp38 MAPKをノックアウトしたマウスに、高食塩負荷とアルドステロン投与(B-ALDO負荷)を行うと、糸球体係蹄内の血栓を生じ、高度腎機能障害を呈すことを見出していた。この機序を検討するために、糸球体マイクロアレイにより発現変化を検討したところ、Serpin1 (PAI-1)の発現がダブルノックアウトマウスで増加しており、本研究ではその意義を検討した。 B-ALDO負荷ポドサイト特異的GC-A & p38 MAPKダブルノックアウトマウスの腎臓でPAI-1の染色を行ったところ、糸球体内でPAI-1はネフリンと共局在しており、一方血管内皮マーカーであるCD31との共局在は少なく、PAI-1はポドサイトで発現亢進していることを同定した。次に、2か月齢のB-ALDO負荷ダブルノックアウトマウスにマウス抗PAI-1抗体もしくは正常マウスIgGの週2回腹腔内投与を行った。抗PAI-1抗体治療群は、糸球体内係蹄内血栓形成率が低下し、糸球体内へのfibrinogenの沈着が軽減しており、CD31とTie2の減弱が改善しており内皮細胞傷害の軽減が示唆された。 さらに、培養ヒトポドサイトと培養糸球体内皮細胞のtranswellを用いた共培養系で検討を行った。培養ポドサイトはMapk14 (p38 MAPK)をCRISPR/Cas9を用いてノックアウトし、GC-AはsiRNAを用いて抑制を行った。このp38 MAPKとGC-Aを低下させたポドサイトではPAI-1発現が亢進し、野生型糸球体内皮細胞ではTGF-β1の発現増加が認められた。さらにこのtranswellの系にPAI-1阻害薬TM5441を投与すると内皮細胞のTGF-β1発現上昇は低下し、内皮細胞における変化はPAI-1上昇によるものであることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
PAI-1中和抗体投与により、糸球体係蹄内血栓形成抑制効果がみられており、また細胞実験においても、transwellの系でPAI-1阻害薬の効果がみられており、計画以上に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後、PAI-1の意義を別のモデルも含め検討を行う。
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