研究課題/領域番号 |
23K07725
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
松本 啓 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (30439799)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 低ネフロンナンバー / 遺伝子改変マウス / 慢性腎不全 |
研究実績の概要 |
【背景・目的】糸球体が少ない腎臓を持った個体(低ネフロンナンバー)ではより早期に慢性腎障害や高血圧などを呈することが指摘されており、ヒトでは早産や子宮内発育不全が低ネフロンナンバーの原因として考えられている。さらに早産で出生した妊婦は妊娠高血圧症やそれに伴う早産/低出生体重児を出産する確率が高いことも報告されており、低ネフロンナンバーは次世代にも受け継がれる可能性がある問題と考えられる。我々は以前より腎臓再生医療研究に用いる遺伝子改変マウスを用いた低ネフロンナンバーモデルマウスの構築および解析を研究している。今回、作成したモデルマウスの長期観察を行ったので報告する。【方法】Six2陽性細胞にCre-loxPシステムを持ったマウスの妊娠13.5日目に、ジフテリアトキシン0.5ngを各羊水内に投与した。妊娠19.5日目に帝王切開にて仔を出生させ、里親の元で成育を得た。遺伝子変異あり(Tg+)と遺伝子変異なし(Tg-)をの両群において正常食、または高塩分食を与えた。生後1年まで観察を行い、各群で糸球体数、体重、血圧、血液/尿検査を測定し比較検討を行った。【結果】この方法にて得られたTg+マウスは、糸球体数低下(断面積あたり約50%までの低下)、体重あたりの腎重量低下、BUN高値を認めたが、発育は良好であった。さらに生後1年の時点では、高塩分食のTg+において、高血圧、尿中アルブミンの排泄量の増加、糸球体硬化を認めた。【結語】この方法で得られた低ネフロンナンバーモデルマウスは高塩分食の負荷によってアルブミン尿の排出をきたす慢性腎障害を示した。このモデルマウスを使用した妊娠後の研究については現在進行中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
低ネフロンナンバーモデルの作出は順調であり、高食塩餌による腎負荷には予想以上に良い反応を示したが、今後次世代(F1世代、F2世代)への影響の検証や、薬剤付加による影響の検討などは時間がかかることが想定される。現時点では概ね順調な経過である。
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今後の研究の推進方策 |
現在次世代の影響を検討するため、得られた低ネフロンナンバー胎仔の継続飼育を行っている。今後はこのモデル動物の交配を含めて、次世代への影響と薬剤付加による変化を検討していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
動物実験の頻度が想定よりも少し低下したため、実際の支出額が少なくなった。次年度以降に順次使用していく。
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