研究課題/領域番号 |
23K07748
|
研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
小林 靖幸 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (70920627)
|
研究分担者 |
杉本 幸太郎 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (40791009)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
キーワード | 悪性黒色腫 / 皮膚 / IgSF11 |
研究実績の概要 |
IgSF11は成人の正常組織では精巣や中枢神経に限局する一方で、悪性黒色腫や形質細胞腫などの様々な悪性腫瘍でmRNAレベルでの異所性高発現がデータベースで示されているがこれまで優れた特異抗体が得られていないため、タンパク質レベルでの発現解析や機能解析は達成されていなかった。 そこで我々はまずIgSF11に対するモノクローナル抗体をラットリンパ節法でハイブリドーマを樹立することで開発した。本抗体はFFPEのセルブロックでDAB染色が可能で、蛍光染色ではヒト精巣での内因性発現も検出できた。本抗体で悪性黒色腫手術標本を免疫染色すると、半数以上の症例が中等度以上の陽性像を示し、本抗体は組織病理学的診断マーカーとして使える可能性がある。今後、症例数を増やすと共に予後など患者情報と比較解析して予後予測マーカーとしての有用性を検証する。 次に悪性黒色腫細胞株におけるIgSF11の分子機能を解析した。それに先立ち3種類の悪性黒色腫培養細胞株(A375, 624mel, 888mel)のIgSF11の発現を解析したところ、A375はIgSF11低発現で、624melと888melは高発現であった。蛍光免疫染色では少なくとも一部で細胞膜にIgSF11の発現を認めた。これらの細胞をベースに、loss of functionとgain of functionを試すため、過剰発現とノックアウトを樹立した。 まず過剰発現株と親株の悪性形質比較した。細胞増殖能や細胞周期ではIgSF11の発現による差異は見られなかった。遊走能では、IgSF11過剰発現株の遊走能が亢進していた。 今後はノックアウト細胞の性状解析、RNAシークエンシングによる下流標的の網羅的理解、担癌モデルによる免疫細胞との相互作用の評価を行う予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初はノックアウト細胞株の性状解析までを目標にしていたが、過剰発現株の性状解析しか完了できなかったため。
|
今後の研究の推進方策 |
悪性黒色腫手術症例標本の症例数を増やすと共に予後など患者情報と比較解析して予後予測マーカーとしての有用性を検証する。 また、悪性黒色腫細胞株ではノックアウト細胞の性状解析、RNAシークエンシングによる下流標的の網羅的理解、担癌モデルによる免疫細胞との相互作用の評価を行う予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究の遅延により当初予定した消耗品の購入を次年度に持ち越した。
|