研究実績の概要 |
本研究では、M1型マクロファージ⇔腫瘍随伴マクロファージの分子スイッチである、PI3キナーゼγ(PI3Kγ)のKOマウスを用いて、腫瘍微小環境の構成要素の一つであるマクロファージが、メラノーマの進行、転移にどのような影響を与えるのかを解析することを目的とする。 2023年度は以下の研究を行った。①PI3KγKOマウスの繁殖・維持、②腫瘍随伴マクロファージ、腫瘍浸潤リンパ球をそれぞれ認識する抗体の免疫組織染色、および免疫ブロットにおける条件検討、③定量的PCRのプライマーの設定と条件検討、④マウスへのメラノーマ細胞の接種予備実験。 ①は実験に必要なマウスの維持は問題なくできている。②に関しては、M1型、M2型マクロファージに共通のマーカーである Iba1、M1型のマーカーであるCD80、CD86、iNOS1、M2型のマーカーであるCD163, CD206, Arginase1、腫瘍浸潤リンパ球のマーカーであるCD8について、免疫組織染色、および免疫ブロットにおける条件検討が終了した。③に関しては、M1マクロファージに由来する炎症性サイトカイン (TNF-α, IL-1β, IL-6, IL-12, IL-23) と、TAMに由来する抗炎症性・免疫抑制性サイトカイン (IL-10, TGF-β, VEGF)のプライマーの設定と条件検討が終了した。④に関しては、接種するメラノーマの細胞数、解析に適した観察期間などを検討することができた。
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