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2023 年度 実施状況報告書

皮膚筋炎の抗OJ抗体が認識する新規エピトープとウイルス蛋白の相同性探索

研究課題

研究課題/領域番号 23K07762
研究機関名古屋大学

研究代表者

室 慶直  名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (80270990)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワード自己抗体 / アミノアシルtRNA合成酵素 / 抗OJ抗体 / 自己免疫 / エピトープ
研究実績の概要

筋炎特異的自己抗体が皮膚筋炎の病型分類に非常に役立っており、最近ではSARS-CoV-2感染後に、高頻度に出現する抗体としても報告されている。中でも抗ARS抗体は複数のアミノアシルtRNA合成酵素に対する抗体で抗Jo-1抗体のように発見からの歴史はあるものの、特に同定が困難な抗OJ抗体については解析が進んでいない。
2021年に申請者が発表した抗OJ抗体の新規測定法により、今年度の研究で新たに見出した陽性例を加え、これまで18例の抗OJ抗体を見出すことに成功している。これらの患者血清と培養細胞から部分精製したOJ抗原(未発表)を用いたイムノブロットにより、OJ抗原を構成する各アミノアシルtRNA合成酵素に対する反応性を確認したところ、微弱な反応しか認めない血清が半数以上を占めることから、抗OJ抗体のエピトープは従来言われているように、複数の合成酵素から成る立体構造依存性のエピトープが重要であることが確認された。この立体構造依存性のエピトープを同定していく実験として、ファージ ディスプレイ ライブラリーのスクリーニングを今後進めていくが、その際に必要な患者血清数として、上記の18例は貴重な材料となる。
また抗OJ抗体の同定と並行して進めている他のアミノアシルtRNA合成酵素に対する抗体検索において、これまで2005年に学会報告されて以来、世界的にも殆ど報告の無い抗ARS抗体のうちの抗Ha抗体について、確実な抗体陽性例を独自の検出系を用いて見出した。症例は関節リウマチと乏筋症性皮膚筋炎の重複症候群で抗ARS抗体症候群に比較的特徴的な間質性肺炎を有した。これまでの抗Ha抗体陽性の報告例をまとめて比較検討を行い、論文発表した(Autoimmun Rev. 2023;22:103403)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

抗OJ抗体の立体構造依存性エピトープの同定をする目的で、ファージディスプレイライブラリーを用いた自己免疫エピトープとなるペプチド配列の探索を行うことを可能にさせるだけの抗体陽性血清を獲得することができた。

今後の研究の推進方策

市販のファージエピトープライブラリーを用いて、健常人血清プールを用いたプレパニング、抗OJ抗体陽性血清プールを用いたパニングを繰り返すことにより抗OJ抗体の立体構造依存性エピトープの発見を目指す。

次年度使用額が生じた理由

2023年度は、ファージディスプレイライブラリーを用いたエピトープとなるペプチド配列の探索を行う実験に要する患者血清の準備と特性評価に集中し、市販ライブラリー等の購入を行わなかったため次年度使用額が生じた。
2024年度はライブラリーのスクリーニングに要する市販ライブラリー等の購入を進めていく。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Autoantibodies against tyrosyl-tRNA synthetase (anti-Ha antibodies)2023

    • 著者名/発表者名
      Yamano Y, Muro Y, Takei R, Kataoka K, Kimura T, Fukuoka J, Akiyama M, Kondoh Y.
    • 雑誌名

      Autoimmun Rev

      巻: 22 ページ: 103403

    • DOI

      10.1016/j.autrev.2023.103403

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Comment on: Successful treatment of rapid progressive interstitial lung disease in a case of anti-Zo antibody positive anti-synthetase syndrome2023

    • 著者名/発表者名
      Koizumi H, Muro Y, Kamiya S, Akashi N, Imai S, Yamashita Y, Ogawa-Momohara M, Takeichi T, Akiyama M.
    • 雑誌名

      Int J Rheum Dis

      巻: 26 ページ: 1872-1873

    • DOI

      10.1111/1756-185X.14654

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 指定難病最前線(Volume 142) 皮膚筋炎/多発性筋炎2023

    • 著者名/発表者名
      明石 憲佳, 室 慶直
    • 雑誌名

      新薬と臨床

      巻: 72 ページ: 680-684

  • [学会発表] 皮膚筋炎における筋膜組織の遺伝子発現解析とin situ hybridizationによるCXCL10産生細胞の同定2023

    • 著者名/発表者名
      吉田 健, 伊藤 晴康, 野田 健太郎, 松下 嵩之, 大藤 洋介, 浮地 太郎, 室 慶直, 黒坂 大太郎
    • 学会等名
      第67回日本リウマチ学会総会・学術集会
  • [学会発表] 骨格筋MRIによる特発性炎症性筋疾患での筋病理学的所見の予測2023

    • 著者名/発表者名
      下山 宜之, 吉田 健, 伊藤 晴康, 浮地 太郎, 野田 健太郎, 室 慶直, 黒坂 大太郎
    • 学会等名
      第67回日本リウマチ学会総会・学術集会
  • [学会発表] 達人に聞く!膠原病の実臨床のコツ (上級編) 皮膚筋炎治療の難題についてすこし語り合いましょう2023

    • 著者名/発表者名
      室 慶直
    • 学会等名
      第75回日本皮膚科学会西部支部学術大会
    • 招待講演

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公開日: 2024-12-25  

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