研究課題/領域番号 |
23K07769
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
高石 樹朗 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 助教 (10303223)
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研究分担者 |
佐野 栄紀 高知大学, 医学部, 特任教授 (80273621)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 化学発がん / 腫瘍増殖制御 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は皮膚腫瘍におけるAhedの役割を明らかにすることである。これまでの研究からAhedがmRNAスプライシングに関わる分子である事を我々は明らかにした。表皮角化細胞におけるAhedの欠損は細胞増殖の停止、細胞死を引き起こす。これはAhed欠損による様々な遺伝子のスプライシング異常に起因すると考えられる。本研究では皮膚腫瘍の発生、増殖あるいは悪性化にAhed が関わるのかIn vitro、In vivoの研究により検討を行った。 In vivoの研究として、DMBA/TPA皮膚化学発がんマウスモデルを用いた。DMBA/TPA塗布によりマウスの皮膚に腫瘍を生じさせて、その後、腫瘍内のAhedの発現をタモキシフェン誘導性Creにより欠損させて、腫瘍の増大に対する影響を検討した。結果としてAhedの欠損により、腫瘍の退縮、増大の抑制が観察された。In vitroの検討としてAhedの発現をテトラサイクリン投与により誘導することが可能なHeLa細胞を樹立した。この細胞はAhedの発現誘導により増殖が明らかに抑制された。これらの結果はAhedの適切な発現レベルの維持が腫瘍細胞の増殖に重要である事を示すものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウス皮膚化学発がんモデルを用いた研究は順調に成果が得られた。培養細胞を用いた研究においては、Ahedの発現が恒常的に増加している腫瘍細胞株が得られなかったため、発現誘導可能な発現ベクターの構築が必要となり、その作業に時間がかかった。当初の目的であったテトラサイクリン誘導性Ahed高発現HeLa細胞株は樹立できた。
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今後の研究の推進方策 |
マウス皮膚化学発がんモデルにおいて腫瘍の増殖抑制にスプライシングの異常が関与する事を明らかにする。Ahed高発現主要細胞株をさらに複数種類樹立して、Ahedの発現誘導と細胞増殖抑制の関連をこれらの細胞を用いて確認する。また、免疫不全マウスへ樹立した腫瘍細胞を移植して、In vivoにおけるAhedの発現と腫瘍の成長抑制を検討する。
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