研究課題/領域番号 |
23K07786
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
樋口 智紀 高知大学, 教育研究部医療学系基礎医学部門, 講師 (00448771)
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研究分担者 |
橋田 裕美子 高知大学, 教育研究部医療学系基礎医学部門, 助教 (00767999)
大畑 雅典 高知大学, 教育研究部医療学系基礎医学部門, 教授 (50263976)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | アミノペプチダーゼ / ATL |
研究実績の概要 |
皮膚T細胞腫瘍には、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)や皮膚病変を呈する成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL)も含まれる。現在、抗CCR4抗体薬やヒストン脱アセチル化酵素阻害薬はATLやCTCLなどの難治性皮膚T細胞腫瘍で治療が奏功しているが、これら腫瘍の高い治療抵抗性や予後改善に向けた早期診断など、未だ臨床上の大きな課題が残されている。この問題を解決するためには、適切な薬剤・治療の選択、治療効果・予後の予測が可能な優れたバイオマーカーの発見とその情報の蓄積が必要不可欠である。 アミノペプチダーゼ(AP)は様々な悪性腫瘍の進展と密接に関連する。AP活性を癌の新規治療戦略上の標的アプローチとして活用することが支持されつつあり、APに対する分子標的薬が癌治療薬として期待されている。しかしながら、これらの薬剤はAPファミリー酵素に広域作用性で、副作用の問題がある。したがって、難治性皮膚T細胞腫瘍でもAPファミリー酵素特異的な分子基盤と腫瘍形成・進展の関連性を解明することはより安全で有効な治療戦略を見出す上で必要である。 本年度は、まずATLにおいて特異性の高いAPファミリー酵素の同定するためにATL細胞株を用いて遺伝子発現解析を行った。その結果、我々が以前明らかにしたATL発癌に関連するFra-2-SOX4癌遺伝子経路の制御下に複数のAPファミリー酵素(NPEPL1、DPP3、DPP7、RNPEP、RNPEPL1など)が存在することを明らかにした。したがって、ATLにおいてもAPファミリー酵素がその腫瘍形成や進展に関連することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の我々の研究計画通り、複数のAPファミリー酵素が皮膚T細胞腫瘍の1つであるATLで高発現することが確認され、ATLの進展にAPファミリー酵素の発現亢進が関連する可能性を示せた。この成果は、本年度の研究計画通りであり、概ね順調に計画が進展していると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、順調に研究計画を進めることができた。したがって、次年度の研究計画に大きな支障はなく、概ね当初の研究計画に沿って進めていく。次年度は同定したAPファミリー酵素を中心にATLでの腫瘍形成における役割について検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
【次年度使用額が生じた理由】 本研究計画の実行において、主に必要となる研究経費は細胞培養や解析に使用する試薬、キットなどの消耗品費にある。しかしながら、次年度以降に予定されている受託解析等の費用は研究の進展によって実験系統が変動する恐れがあるため、消耗品等の購入単価の削減や節約によって本年度の消耗品費の一部を、次年度の使用予定額として補填する必要が生じた。 【使用計画】 本年度同様、次年度もこれら消耗品費に研究費を使用する。また、次年度に必要となる機器の多くは当該研究施設にて整備されており、当該研究施設の機器で解析できない場合でも外部受託解析が可能であるため新たに購入する必要はない。しかしながら、本研究目的を達成するためにsiRNA 、real-time PCR解析に必要なTaqMan probe、フローサイトメトリー等に用いる抗体、次世代シーケンサー用の消耗品類など一般試薬類と比較して単価がやや高価なものが必要となる。また、次年度に持ち越される研究に必要な消耗品費は本年度未使用の助成金で補填する。
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