研究課題/領域番号 |
23K07794
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
多田 弥生 帝京大学, 医学部, 主任教授 (00334409)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 乾癬 |
研究実績の概要 |
乾癬の病型の一つに膿疱性乾癬(汎発型)があるが、これは紅斑、膿疱に加えて、発熱、浮腫など全身炎症を伴い、ときに命を脅かす重症病型である。一方で、経験上、膿疱性乾癬患者では増悪時にそう痒を訴える患者が多く、同時に血中で好酸球増多を認める症例も多い。これまでの研究結果と合わせアトピー性皮膚炎同様にTh2系サイトカイン・ケモカインが関与している可能性が考えられた。我々は膿疱性乾癬患者血清でTh2系ケモカインのThymus and activation-regulated chemokine (TARC)/CCL17の上昇を報告した。そこで、本研究では、膿疱性乾癬でのTARC産生細胞を同定し、TARC産生の誘導因子、血清TARC値と病勢の関係を検討し、TARCが膿疱性乾癬のバイオマーカーになりうるかということを目標に検討を続けている。初年度はTARC産生細胞の同定の目的で、膿疱性乾癬患者から得られた皮膚検体に対して、免疫染色を行い、TARC産生細胞を検討した。T細胞などの皮膚組織に浸潤する炎症細胞はもちろんだが、その他、樹状細胞、血管内皮細胞、線維芽細胞、ケラチノサイトについても検討した結果、浸潤細胞も染色はされるもののメインの産生源としてはケラチノサイトが有力と考えた。これは健常人コントロールや乾癬患者や膿疱性乾癬の無疹部と比較しても強く染色されていることから、非特異的な染色ではないことが考えられた。膿疱性乾癬の表皮は尋常性乾癬と表皮と比較し、表皮肥厚などが軽微であり、そうした点で特徴的であるということが臨床的にあるため、注目すべき結果と考えた。次年度以降、膿疱性乾癬の患者血清を用いた検討を続け、培養表皮細胞にTARCを発現させる微小環境についても検討を加えていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目標は膿疱性乾癬でのTARC産生細胞を同定し、TARC産生の誘導因子、血清TARC値と病勢の関係を検討し、TARCが膿疱性乾癬のバイオマーカーになりうるかということであった。その中でも初年度の目標は膿疱性乾癬でのTARC産生細胞を同定するということであったため、その産生細胞がケラチノサイトである可能性が高いという結果は順調な進捗であると考える。
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今後の研究の推進方策 |
膿疱性乾癬患者の患者血清については、順調に収集できており、また、患者皮膚検体についても、1-2ヶ月に1名新規患者が来院しているため、問題なく推進できると考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
使用予定のELISAキットが一つでも10万円を超えるため、次年度の支給があってから購入することとした。
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