研究課題/領域番号 |
23K07798
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
中山 隆志 近畿大学, 薬学部, 教授 (60319663)
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研究分担者 |
原 雄大 近畿大学, 薬学部, 講師 (20803779)
松尾 一彦 近畿大学, 薬学部, 准教授 (70615921)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | CCL28 / メラノーマ / 好酸球 |
研究実績の概要 |
CCL28は、大腸などの粘膜組織に恒常的に発現するケモカインであり、CCR10を介してIgA産生細胞を粘膜組織へと遊走することで粘膜免疫の恒常性の維持に寄与する。一方、近年、アトピー性皮膚炎などの炎症皮膚組織において、CCL28の発現が増加することが報告された。しかしながら、CCL28の粘膜免疫における役割は知られているが、皮膚免疫における役割についてはほとんど不明である。 近年、好酸球がある種のがん細胞に対して細胞傷害活性を示すこと、多くのがん組織において好酸球の高頻度な浸潤が報告された。しかしながら、好酸球のがん組織への浸潤機序および腫瘍免疫における役割の詳細は不明である。また、CCL28はCCR3を介して好酸球を遊走することが示されているが、その役割についてもほとんど報告がない。 本研究課題では、メラノーマ担癌モデルマウスを作製し、CCL28欠損マウスを用いて、CCL28の皮膚腫瘍免疫における役割の解明を目指す。 まず、腫瘍増殖に対するCCL28の役割を検討したところ、CCL28欠損マウスでは、腫瘍増殖が亢進した。この時、細胞傷害性T細胞(CTL)および好酸球の腫瘍への浸潤が減少した。また、CCR3阻害薬の効果について検討したところ、CCL28欠損マウスでみられたのと同様に、腫瘍増殖の亢進、CTLおよび好酸球の浸潤の減少が認められた。続いて、腫瘍より好酸球を単離し、CCL28による遊走について検討したところ、検討したCCL28の濃度では好酸球の遊走が認められなかった。 以上の結果より、CCL28はメラノーマ腫瘍の増殖に寄与する可能性が考えられた。しかしながら、その機序に関してはさらなる追究が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
CCL28欠損マウスにおいて、メラノーマ腫瘍の増殖の亢進、および好酸球の腫瘍内への浸潤減少を見出した。さらに、CCR3阻害薬の投与についても同様の結果が得られた。そのため、研究の根幹の項目については順調に進行していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
CCL28欠損マウスでみられた腫瘍内へのCTL浸潤の減少のメカニズム、およびCCL28を介した好酸球遊走のメカニズムの解明を中心に検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画が順調に進み、必要な試薬が少なく済んだため。繰り越した分は、次年度に物品費としてすべて使用する。
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