研究課題/領域番号 |
23K07873
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
加藤 将 北海道大学, 大学病院, 講師 (10755896)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 関節リウマチ / 滑膜線維芽細胞 / 抗シトルリン化タンパク質抗体 / オートファジー |
研究実績の概要 |
関節リウマチにおいてシトルリン化ビメンチンに対する免疫反応が生じるメカニズムを解明すべく研究を行った。滑膜線維芽細胞において飢餓刺激を介したオートファジーの誘導によって生じるビメンチンのシトルリン化はリソソーム阻害剤クロロキンにより、想定とは異なり、抑制はされずむしろ促進された。一方、シトルリン化ビメンチンとHLA-DRとの結合については明らかな変化は認められなかった。オートファゴソームとリソソームの融合を仲介するSNAREタンパク質syntaxin 17をノックダウンした滑膜線維芽細胞においてはビメンチンのシトルリン化は影響を受けなかった。さらに、オートファジー受容体p62をノックダウンした滑膜線維芽細胞においてもビメンチンのシトルリン化は影響を受けなかった。また、一般に血清学的陰性関節リウマチと称される抗環状シトルリン化ペプチド(シトルリン化フィラグリン)抗体陰性の患者60名から、抗シトルリン化ビメンチン抗体を有する患者を5名見出した。以上より、シトルリン化ビメンチンを中心とした免疫反応を有する関節リウマチ患者の存在が示唆され、滑膜線維芽細胞が重要な役割を果たしている可能性が考えられた。同細胞において、ビメンチンのシトルリン化はオートファジーの誘導によって生じるものの、オートリソソームの形成以前に生じていると考えられた。また、抗原提示へとつながるシトルリン化ビメンチンとHLA-DRとの結合についてはオートファジーのみならずIFN-γを中心とした経路の重要性が併せて示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画全体の約35%を令和5年度に終えることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り、研究計画全体の残りの約65%を令和6年度、7年度と2年間にわたり進めていく。初年度と同様に細胞実験と患者検体を用いた検討を並行して進めていく。
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