研究実績の概要 |
令和5年度 研究実績の概要 1. 顎下腺サンプルのRNA-seq解析:包括診断基準(2011年, 2020年)に従い診断された、IgG4関連疾患20例の顎下腺サンプルを用いて、bulk RNA-seq解析を実施した。その結果、対照顎下腺サンプルと比較し、5,169遺伝子が有意に発現が亢進し、2,773遺伝子が発現が抑制されていた。パスウェイ解析にて、上方制御されていた経路には、細胞周期およびT細胞に関連する経路が抽出され、下方制御された経路には複数のGTPase経路、タイトジャンクションに関連する経路が認められた。現在、対照顎下腺サンプルと比較し、変動有意差のある遺伝子を抽出し、その意義及び病態の関与について解析中である。 2. 末梢血のエクソソーム解析:IgG4関連疾患の末梢血では、miR-125a-3p、miR-125b-1-3p濃度が有意に高いことが明らかになった。これらの標的とする遺伝子には、glypican 4, forkhead box C1, protein tyrosine phosphatase non-receptor type 3, hydroxycarboxylic acid receptor 1, major facilitator superfamily domain containing 11, and tumour-associated calcium signal transducer 2があり、病態への関与について、今後も解析予定である。 3. 臨床データとの統合:現在、これらの結果と臨床情報を統合し、それぞれの結果のアノテーションを進めている。
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