研究課題/領域番号 |
23K07884
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
桑名 正隆 日本医科大学, 大学院医学研究科, 大学院教授 (50245479)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 全身性強皮症 / トランスクリプトーム / 皮膚 |
研究実績の概要 |
本研究では、「全身性強皮症(SSc)皮膚病態パネル」の構築のため、4つのステージを設定し、3年計画で段階的に研究を進めている。ステージ1では、公開トランスクリプトームを用いた「SSc皮膚病態パネル」の構築を目標としており、SSc患者、健常者皮膚の公開トランスクリプトームデータセットを用いて、両群間での発現差differentially Expressed Gene(DEG)解析、ssGSEAを用いたパスウェイ解析を行い、さらにMicroenvironment Cell Populations-counterを用いて組織に浸潤する免疫細胞の存在量を推定するパネルの作成を進めている。さらに、パネルにはSSc皮膚におけるMolecular subset [PLoS One. 2008; 3 :e2696.] による層別化も組み合わせ、個々の患者における分子標的薬の標的となるパスウェイの活性化状態をより可視できるようにした。 ステージ2では、皮膚トランスクリプトームによる「SSc皮膚病態パネル」の検証を目標とし、SSc患者の皮膚生検、末梢血検体に加え臨床情報を前向きに収集し、目標35例のうち33例を収集した。対象群として、整形外科での前腕部手術時の残余皮膚検体を健常検体として採取することを追加し、目標5例のうち3例の収集が完了している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1年目では、ステージ1の公開トランスクリプトームを用いた「SSc皮膚病態パネル」の構築を進め、SSc皮膚におけるMolecular subset [PLoS One. 2008; 3 :e2696.] による層別化を追加で組み合わせてパネルの構築を進めているが、公開データでの検証には至っていない。さらに、ステージ2の皮膚トランスクリプトームによる「SSc皮膚病態パネル」の検証については、対象群として整形外科での前腕部手術時の残余皮膚検体を健常検体として採取することを追加したことが変更点ではあるが、皮膚生検検体はSScおよび健常検体ともに、予定通りの採取ができている。
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今後の研究の推進方策 |
ステージ1での「SSc皮膚病態パネル」の検証については、公開データでは未治療例が少なく、臨床データが不十分であることも多く、公開データは可能な範囲でderivationとして使用し、今後入手予定の臨床試験で得られた皮膚トランスクリプトームデータを用いたvalidationを行う予定とする。ステージ2では、SSc皮膚検体および健常検体の目標症例数を達成でき次第、RNAseqによる解析を行い、皮膚トランスクリプトームによる「SSc皮膚病態パネル」の検証を行う。ステージ3では、トランスクリプトーム解析に用いた皮膚と同時に採集した血漿を用いてプロテオーム解析を行う(Olink® Target 48 Cytokine Panels使用を予定)予定としている。また、最終年度にはステージ4としてSScデータベースを用いたSSc病態パネルの治療反応性・予後予測における有用性を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
RNAシークエンスによる皮膚トランスクリプトーム解析を本年度に実施する予定であったが、目標35例分を一括して解析する方が安価かつ比較においてより頑強なデータでられることが判明したため(現在の収集状況は33例)、次年度に繰り越すことにした。
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