研究課題/領域番号 |
23K07889
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
久田 剛志 群馬大学, 大学院保健学研究科, 教授 (10344938)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | レゾルビン / オメガ3脂肪酸 / 炎症収束 |
研究実績の概要 |
環境因子による喘息重症化の病態解明を進めるとともに、その対応策を検討するため基礎的研究を行っている。気道バリア障害を惹起することによって,喘息,アレルギー疾患の重症化にも影響を与える環境因子はexposomeと総称され、オゾンなどの大気汚染物質,黄砂やPM2.5,喫煙曝露などの因子が想定されている。レゾルビンは、ω3脂肪酸の1つであるEPAから代謝、生成される脂質メディエーターである。本来、生体内で生成され作用する。抗炎症作用のみならず、炎症収束作用がある。今年度は、レゾルビンE3の作用に関して細胞内シグナル伝達機構を明らかにするためにin vitroの実験を中心に進めた。マクロファージ様細胞株(RAW264.7)に対してLPS刺激により炎症を惹起した。TGF-β1産生に対する各種レゾルビンの作用を検討したところ、レゾルビンE3がp38-MAPKおよびCREBリン酸化を抑制することにより抗炎症作用を発揮することがわかった。今回の結果は、国際学会にて発表(欧州呼吸器学会、ERS2023、ミラノ、演題名:Resolvin E3 inhibits phosphorylation of p38 MAPK signaling pathway leading to the reduction of TGF-β1 production on macrophage)した。今後は、マウスモデルを用いた実験を行い検討を進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は、レゾルビンの抗炎症作用、炎症収束作用に関する基礎的研究として、細胞内シグナル伝達機序に関する研究を行った。マウスを用いたin vivo研究については今後進めていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
マウスを用いた研究を進めていく予定である。タバコ煙曝露によるTSLP-ILC2 axisを介したマウス重症喘息モデルによる研究においては、BALB/cマウスを用いる。マウスにCSE(cigarette smoke extract:タバコ煙抽出物)またはPBSを毎日、計7日間経口投与するか、CSEまたはPBSを気管内投与して、TSLP発現に対するCSEの影響を検討する。CSE、OVA(ovalbumin)、またはその両方(獲得免疫によるTh2細胞と自然免疫によるILC2細胞の両方からの影響を受けた最重症喘息モデル)が2型炎症反応と肺病理組織学的所見に及ぼす影響を調べるため、OVAとともに、またはOVAなしでCSEまたはPBS を8週間にわたり経鼻的にチャレンジする。レゾルビンの効果をみるために、RvE1, E2, E3とそれぞれの強化誘導体をわれわれの既報のプロトコールに準じて投与する。最終的なCSEチャレンジ、OVAチャレンジ、またはその両方の3時間後に、マウスをsacrificeし、real-time PCR、ウェスタンブロッティング、組織学的検討、血清OVA特異的IgE測定を行う。免疫染色した肺切片中のTSLP陽性細胞数をカウントする。全脾臓細胞をインキュベートし、OVA存在または非存在下において培養上清を採取し、IL-4とIL-13などのサイトカインをELISAキットにより測定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
これまでのところ、研究はやや遅れているが、in vitroの研究結果が少しずつ得られている。学会発表で公表した。次年度に向けては、使用額が生じたが、研究をさらに発展させるためには、まだ多くの実験が必要である。今年度および来年度も研究計画に沿って実験をおこなっていく予定であり、研究費が必要である。今後は、 RvE群の受容体の同定とプロドラッグを用いた創薬への挑戦(in vitro実験)を行っていく。RvE1,RvE2,RvE3はすべて北海道大学周東智教授から提供していただく。周東教授の研究室では各野生型RvE群よりも生体内で安定かつ強力なRvEのプロドラッグを作製済みである。各RvE群の作用機序を解析すると同時に、プロドラッグでもin vivo, in vitro実験を同様に行う。
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