研究課題
自己免疫疾患の難治性病態ではB細胞標的治療法が提案されているが、その効果は完全ではない。我々は、SLEにおいてRP105陰性B細胞が、自己抗体産生細胞であることを世界で初めて報告したが、今回、マルチカラー多次元解析(t-SNE法:t-Distributed Stochastic Neighbor Embedding)によりB細胞クラスター解析を行い、真の自己抗体産生B細胞を同定し同細胞に対する治療法の新規開発を行っている。t-SNE法は、フローサイトメトリーでは2013年に初めて応用された。アルゴリズム計算によって複数の細胞集団を 2次元プロット上にクラスタリング表示し、データ全体の特徴を視覚的に認識しやすくする方法である。今回、t-SNE法によるパイロット研究を行った。予備的研究であるが、t-SNE法によるSLE患者B細胞のクラスター解析によりRP105陰性B細胞は20を超える多彩なサブセットから成ることが明らかとなった。自己免疫疾患でのB細胞異常は単に自己反応性B細胞として一括して取り扱われていることが多い。RP105のB細胞での発現についても、疾患により多様である。その異常B細胞は、さらに多様な細胞集団の複合体であり、疾患により大きく異なっている可能性がある。したがって、病態ごとの真の病的B細胞を特定し、新規治療法の戦略的開発を目指す必要があると考えられる。今後、t-SNE法を用いて、RP105陰性形質芽B細胞を詳細にクラスター解析し、真の病的B細胞を特定し、新規治療法の戦略的開発を目指す。
2: おおむね順調に進展している
SLE由来の末梢血単核球を用いてRP105陰性B細胞についてt-SNE法を用いてB細胞のクラスター解析を行っている。次いで、病態に関与する異常B細胞集団を同定を試みている。上記の研究を行い、疾患ごと、患者ごと、病態ごと、治療反応性ごとのクラスター集団を抽出し、その集団のフェノタイプを詳細に解析している。新規治療法の開発を行うために本研究では、SLEの病的自己抗体産生を行うRP105陰性形質芽細胞のクラスター解析を行っている。
自己免疫疾患のB細胞異常は自己反応性B細胞として一括されていることが多いが、実際は多様な細胞集団の複合体であり、疾患、患者、治療によって異なっている可能性がある。t-SNE法を用いて、RP105陰性形質芽B細胞を詳細にクラスター解析し、真の病的B細胞を特定し、新規治療法の戦略的開発を目指す。また、RP105陰性自己反応性B細胞は正常者にも存在することが知られているが、その詳細な解析はいまだ行われていない。病的細胞と正常細胞の比較が重要であり、その基礎的なデータを確立するために、今後、健常者におけるRP105陰性B細胞のフェノタイプ解説も行う。健常者からの自己反応性B細胞と病的自己反応性B細胞の比較により病的細胞の特質を同定する。
tSNE法の樹立のための方法論の確立には経費が生じなかったが、今後、検体を用いて研究を遂行するため、適切に使用できる
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